正装のスニーカー

Nike、Prada、Margielaのブラック スニーカーでフォーマルを極める

    夏のウェディングがいちばんロマンチックだと言い出した人は、実際には、もっと気候の快適な時期を想定していたに違いない。猛暑の中、スーツを着て、サンダル履きの足に靴下を履いて革靴を履かねばならないなど、考えるだけで我慢ならない。それに、言うまでもないが、ジャケットにネクタイ着用というドレス コードがある場合、季節に限らず、自分流のスタイルを維持するのは不可能に近い難題である。そこで登場するのが「ブラック スニーカー」だ。黒のスニーカーなら、カジュアルとフォーマルの垣根を破壊し、快適でありながらビシっと決まった、気軽なフォーマルが可能であることをここに証明する。

    画像のアイテム:スニーカー(Nike)

    2000年、ヴィンス・カーター(Vince Carter)が初のNike ショックス BB4を発表すると、瞬く間に、かっこいいスニーカーを求めてやまない、すべての中高生の羨望の的となった。昨年、Nikeがそのショックスを復刻し、誰もがほろ苦い懐かしさと歓喜の入り混じった感情に襲われたものだ。空気のクッションが抜群に効いたフォーマル スタイルを探しているなら、2002年のショックスのCMでブルーのスーツに身を包み、踊りながら街に繰り出すヴィンスを参考にしよう。これでピョーンと、ひとっ飛びだ。

    画像のアイテム:スニーカー(adidas Originals)

    このadidasのスニーカーは、クラシック中のクラシックなあまり、ほとんど人目につかなくなっている。視覚言語の中にあまりにも深く組み込まれているせいで感知不可能。不朽のアイテムすぎて、ニュートラルな域に達したのだ。

    画像のアイテム:スニーカー(Bottega Veneta)

    スリッポンが洗練されたアイテムに思えるなどと、一体誰が考えただろうか。Bottega Venetaは、滑らかな風合いの白黒のバフ レザーを用いたイントレチャート編みを、格子模様のように見せることで、ドレス ダウンしたスタイルに高級感を与えている。パッと見の印象に反して、これはスケート パークでお馴染みの格子模様の定番スニーカーではない。贅沢なレザーに、フォーマルなブラック タイの配色を取り入れた、このスリッポンは、むしろクラシックなウィングチップに類する、遊び心溢れる1足なのだ。

    画像のアイテム:スニーカー(Maison Margiela)

    ここでは、かの有名なMargiela Tabiの謎めいた雰囲気が、ハイトップ スニーカーの快適さに一役買っている。ラバー加工を施した光沢のあるトゥ、黒の柔らかなレザーのボディ。このスニーカーは、普段履きのCHUCK TAYLORよりも、はるかに考え抜かれた感じがする。そして、その心遣いが違いを生む。おそらく、これがフォーマル ウェアとして通用するのかしないのか、足袋のつま先が割れているように「イエス」と「ノー」の気持ちに分かれるだろうが、心配は無用、このスタイルで問題ない。

    画像のアイテム:スニーカー(Prada)

    このPradasの靴はスニーカーなのだが、これまで見てきた標準的スニーカーよりも洒落ている。ベルクロで留めるのも子どもっぽいどころか、むしろ『ミッション:インポッシブル』を思わせる。最新技術を取り入れたディテールと、初代Linea Rossa時代を思わせるデザインが、周囲に溶け込んで埋没しがちなスーツとネクタイのスタイルに、ひときわ目を引く、90年代のクールさをもたらすことは間違いない。

    • Date: August 6, 2019