足元は語る

Aries、Fendi、ERLなど6足のソックスが本性を暴く

    ソックスは、誰よりも鋭く秘密を暴く密告者だ。アスレジャー ブームが過ぎ、怠惰なエレガンスがトレンドの今、ドレスダウンして堂々とロングドレスの横に並ぶことができる。そこでは、しばしばファッション上の嘘が細部に紛れ込んでいる。細心の注意を払ってアンチ ファッションを体現する人であっても、腕時計のバンドや丁寧に折り返したパンツの裾に息づく配慮を隠すことはできない。特にソックスのチョイスには、それが顕著に現れる。今回は、そんなオシャレへの配慮を暴露してやまない、6足のソックスを紹介しよう。

    画像のアイテム:ソックス(Jacquemus)

    このソックスは、「陽気さ」を地でいくサイモン・ポート(Simon Porte)よりも、さらに明るく燦々と輝く。屈託のない前向きな性格で知られるフランス出身のデザイナーは、2019年春夏コレクションで、ウィメンズウェアがもつ前衛的なデザインの魅力を、やすやすとメンズウェアの定番アイテムに作り変えてみせた。この黄色の「Les Chaussettes」ソックスの魅力には、言葉にしがたいものがある。ただひとつ、はっきりしているのは、この卵の黄身のような色のコットン混紡のチューブ ソックスが「joie de vivre(生きる歓び)」の結晶だということだ。

    画像のアイテム:ソックス(Wacko Maria)

    レトロでクラシックな王道ソックスを現代風にアップデート。Wacko Mariaのソックスの言うがまま、説明は足にまかせよう。履くだけで切り抜けられる。このソックスはそのためのものなのだ。

    画像のアイテム:ソックス(Aries)

    セントラル・セント・マーチンズの卒業生ソフィア・プランテラ(Sofia Prantera)は、カルト的人気を誇るブランドSlam City SkatesとSilasを経て、自身のブランドAriesを立ち上げた。プランテラは、ストリートウェアブランドでの経験と正規のデザイン教育で培った知識をもとに、カジュアル感溢れるラグジュアリーなアイテムを生み出している。このソックスをゆったりとしたダブルの裾のワーク パンツに合わせ、道すがらキックフリップをキメると、足首にかけてデザインされた文字が顔を出すのが、容易に想像できる。楽しいソックスは、罪にはならないのだ。

    画像のアイテム:ソックス(Fendi)

    この5本指ソックスが覆うのは、自分の部屋でゲルペンで落書きに勤しむプレティーンの足や、バランスを取りながらヨガ マットの上で踏ん張る足だけではない。皮肉や挑発がますます重視されるにつれ、5本指ソックスもまたラグジュアリーへと向かっている。ソックスとサンダルの組み合わせは、もはや間違ったファッションではなく、あまりにファッションに詳しいために、逆にファッション音痴を演じられる人の証拠になっている。ストライプの入ったFendiのベージュの「Fiend」ソックスが放つのは、完全に屈折したファッションのメッセージだ。

    画像のアイテム:ソックス(ERL)

    ここでは「ルネサンス青年」ことイーライ・ラッセル・リネッツ(Eli Russell Linetz)が、Nikeとのコラボレーションを通して、昔ながらのスポーツ ソックスに少しばかりの遊び心を加えている。

    画像のアイテム:ソックス(Doublet)

    こうしてあらゆるソックスを見てしまったと思ったところで、最後に日本のブランドDoubletが、1足で3度美味しいソックスで、また驚かせてくれるのだった。