夏こそコーデュロイ!
Noah、Gucci、ERLに見る、プレッピーとグランジの交差点

コーデュロイは色んな意味を持った織物だ。どこか昔ながらの懐かしい感じがすると同時に、若々しく、遊び心に満ちた感じもする。その名前自体が言葉遊びにもなっているリブ編みの模様がロープのように見え、厚手の生地を利用していことから、「cord」と、イングランド原産の毛織物「deroy」が転じた「duroy」を合成して、この語は作られた。コーデュロイは、18世紀においては英国のジェントルマン階級に愛用され、80年代に入ってからは学者タイプの人たちに好まれた。そして90年代、グランジの流行の中で、再びファッションに取り入れられるようになった。さらにコーデュロイと言えば、「ミスター・ロジャース」や「くまのコールテンくん」も思い出す。乗馬のイメージでもあり、カート・コバーン(Kurt Cobain)のイメージでもある。リネンやカーキといった夏の定番の代わりを探すプレッピーにもってこいのグランジ アイテム、コーデュロイこそ、この両方を納得させられる生地なのだ。

画像のアイテム:スニーカー(Harmony)
Harmony Puma Edition イエロー Crack CC スニーカー
コーデュロイの語源は、フランス語の「王の綱、corde du roi」という説があるが、これは事実に反する。しかし、コーデュロイは高貴なものだと思いたいという、皆の願望からこの説は生まれたのではないだろうか。このPumaの定番スニーカーは、まさに王のために仕立て直したようだ。その語源をどう解釈しようとも、「インカ ゴールド」の色名が示すとおり、コーデュロイが古風で豪華なことには変わりない。

画像のアイテム:トラウザーズ(Gucci)
OshKoshと赤ちゃんのイメージは切り離すことはできても、コーデュロイが連想させる幼児期のイメージから逃れることはできない。とにかくコーデュロイには、はっきりと保育園を思わせる何かがある。そして忘れてはならないのが、「コーデュロイ ベア」こと、「くまのコールテンくん」だ。絵本を知っている人なら、コーデュロイといえばこのクマを思い出すはずだ。コーデュロイは遊ぶのが大好き。このGucciのプリント トラウザーズなら、とりわけ園児のような気分になれるだろう。

画像のアイテム:ショーツ(Noah)
Noah マルチカラー コーデュロイ ウインター ランニング ショーツ
70年代から80年代にかけて、流行に敏感なプレッピーによって、コーデュロイはファッション最前線でも見られるようになった。そして昨今、サステナビリティに配慮した現代的なスタンスもあいまって、流行に敏感なプレッピーが着ているのがNoahだ。そう考えると、Noahが、カラーブロックになった冬用ランニング ショーツを出したのは、とことん理にかなっている。プレッピーは丈の短いショーツが好きなだけでなく、かっちりとしたブレザーや頑丈なエルボー パッチも好きなのだから。

モデル着用アイテム:帽子(R13)
R13からは、より一層90年代らしいコーデュロイのバケット ハットが登場だ。おまけにいかにも70年代なオレンジ色の畝が、シュガーヒル・ギャング(The Sugarhill Gang)や、人気絶頂期のリアム・ギャラガー(Liam Gallagher)を彷彿とさせる。

モデル着用アイテム:帽子(R13)
ERL SSENSE 限定 ピンク コーデュロイ ジャケット
以前、エディトリアルで紹介した通り、ロサンゼルスを拠点にしているクリエイティブ ディレクター、イーライ・ラッセル・リネッツ(Eli Russell Linnetz)の勢いは止まるところを知らない。ERLの2019年春夏コレクションには、明るいパステル カラーの100%コットン コーデュロイのボタンダウン シャツとショーツのセットが登場する。カリフォルニア スタイルのコーデュロイの完成だ。