コーチジャケット:カジュアルからハイエンドまで
春の訪れを感じさせる、スポーティな重ね着の主役プレーヤー

フィールド上のスポーツウェアを代表するコーチ ジャケットは、ここ数十年の間で、気軽に着られるストリートウェアの定番商品としてすっかり定着した感がある。清潔感があり、軽量で、頼れるアイテムと三拍子揃ったコーチ ジャケットには、自然と尊敬の念と称賛が集まる。まるでコーチにおのずと信頼が寄せられるように。ピッチに立って大声で指令を出す声が聞こえてくる、霧のかかった春の朝や、爽快な夏の始め、皆で集まってスケートボードをするときに、このアウターは最適だ。断熱性に優れたナイロン生地、端正な襟元、スナップボタンで開閉するフロント、ゴムの入った袖口、そして胸元のロゴ。このスポーツウェアは、今まさに旬である。アメフトを題材としたドラマ『Friday Night Lights』に登場する、「待ってないで、欲しいものは自らつかみ取れ」というテイラー コーチの名台詞が、今こそ重要な意味を帯びてくる。

モデル着用アイテム:ジャケット(Levi's)
最初に攻めるのは、手頃な価格でアメリカーナの影響を受けた定番ウェアを作ることで知られるLevi’sだ。Levi’s流のコーチ ジャケットは、コットン混紡だ。コットンが加わることで耐久性が向上するだけでなく、従来のクラシックな防風ナイロン ジャケットよりも、手触りが柔らかく仕上がる。この完璧なロビンズ エッグ ブルーは、フィールドに春の訪れを告げる究極の1着だ。

モデル着用アイテム:ジャケット(Wacko Maria)
Wacko Mariaを立ち上げた石塚啓次と森敦彦のふたりは、ともに元Jリーグ選手である。ブランド立ち上げの前に、森は東京の人気バー「Rock Steady(ロック・ステディ)」もオープンしている。つまり、このデザイナーたちはスポーツ分野において一目置かれているだけでなく、パーティー好きでもあるということだ。そこから誕生したのが、ユニークなひねりを効かせたWacko Mariaのコーチ ジャケットである。クラシックなシルエットに、色はブラック、背面には70年代を彷彿とさせるバブル フォントで「DISCO」という文字がプリントされている。これを着れば、エンドゾーンで勝利のダンスをしたくなること請け合いだ。

モデル着用アイテム:ジャケット(N. Hoolywood)
日本発のN.Hoolywoodは、控えめな色調、ビンテージ感あふれるテイスト、そしてスポーツウェアの要素を取り入れた、洗練されたベーシック アイテムのデザインで知られている。そんなN.Hoolywoodのコーチ ジャケットには、意外な遊び心が光る。通常のナイロン生地を、落ち着いた色合いの上質なコーデュロイに置き換えたのだ。また、ポインテッド カラーの襟やコーチ ジャケット特有のノスタルジー溢れるシルエットはそのままに、スナップボタンの代わりにジッパーを使用することで新鮮さを出している。これぞまさにタッチダウン!

モデル着用アイテム:ジャケット(Heron Preston)
コーチ ジャケットに迷彩柄を取り入れたのがHeron Prestonだ。フィールドでの重ね着に適したアウターのプリント柄として、毛色の異なるスポーツ、ハンティングを取り入れている。デザイナーのグラフィックに対する衝動は、定番のシャツ ジャケットを枯葉のような迷彩で覆い尽くす。そこにアクセントとして、デザイナーのトレードマークである「СТИЛЬ」の文字が並ぶ。このキリル文字は、一見、英語の「coach(コーチ)」のようにも見えるが、実際はロシア語で「スタイル」を意味している。また、一目でHeron Prestonと分かる袖口のオレンジのロゴ タグによって、リーグ内でもひときわ目立つアイテムとなっている。

モデル着用アイテム:ジャケット(Maison Margiela)
自己意識を伴うスポーツ ユニフォームを投入したMaison Margielaは、ブランドの代名詞というべき反逆精神の視点をコーチ ジャケットに取り入れることで、得点を狙う。クラシックを手に走りながら、刺激的な蛍光イエローで攻め込むMargielaは、胸元のお決まりのチーム名やステート ロゴの代わりに、「Stereotype」という言葉とその定義を、ボンディング加工のキャンバスのバッジに綴った。そうすることで、チーム内でも特に権威あるメンバーが着用するジャケットにレッテルを貼るという、大胆な遊び心を見せている。