メッシュ
マニア!
Gucci、GmbH、Comme des Garçonsに見るメッシュの柔軟性

メッシュ地は、長年、フェス向けのレイブ ファッションにもハイテク技術を取り入れたスポーツウェアにも好んで使われてきた。無数の穴から成る生地は、そこに存在すると同時に存在せず、何も身につけない状態にもっとも近づける生地である。その柔軟性と通気性から多くの人に愛されている、この格子状の網目になった素材なら、何も着ていないかのようなセクシーさを演出することも、有酸素運動における効率の良さを追求することもできる。時には、これらを同時に実現することも可能だ。2019年春夏コレクションでは、メッシュが意外なアイテムに使われていた。今回は、大人気デザイナーたちが提案する、トレンド アイテムのいくつかを紹介しよう。

画像のアイテム:スニーカー(Gucci)
Gucciのフラッシュトレックは、少なくとも実用性という観点から言えば、本当のスニーカーではない。スポーティーなメッシュに、珍しく派手なオレンジ色のパネル、やたらと厚底で実用性に欠けるが独特の魅力を放つラバー ソール。ここでのメッシュは、スポーティーさを印象づけてはいるが、その実、フラッシュトレックの仰々しいディテールという、ラグジュアリー特有の軽薄さをごまかしているにすぎない。

モデル着用アイテム:T シャツ(GmbH)
ブランド名を翻訳するまでもなく、GmbHがベルリンを本拠地としていることは明らかだ。そして、ブランドが好んでデザインに取り入れる、ぴったりフィットしたメッシュや一風変わった生地は、一見するとわからないが、実は高級クラブBerghain御用達になるべくデザインされたものだとわかる。GmbHのテクニカルTシャツは、従来、レイブ ウェアに使われてきた生地を、熟練の技術とストリートウェアの感性に結びつけることで、メッシュの未来を体現している。

モデル着用アイテム:カーディガン(Junya Watanabe)
Junya Watanabe ホワイト アシンメトリック カーディガン
デザインにいつも必ず遊び心を加えるJunya Watanabeがメッシュを使うと、素晴らしい透け感のカーディガンが生まれる。もちろん、デザイナーの特徴である、アシンメトリなネックラインやちぐはぐに配置されたボタンなど、型破りなデザインは健在だ。
Comme des Garçons Homme Plus Nike Edition ブルー エア プレスト フット テント スニーカー
Comme des GarçonsがNikeと行った最新コラボレーションから、おそらく、両者のコラボ史上最もユニークなアイテムが誕生した。このメッシュの使い方は、見事なまでに独創的だ。スニーカーに取り入れられたメッシュのボディ自体は、従来のスポーツ シューズに見られる典型的なものだが、そこに奇妙な「シューズ用テント」が加わったのだ。フェンシング シューズ、または養蜂シューズとでも言うべきか。これこそ、どんな履き方をしようが何者も寄せ付けない、最強メッシュである。

画像のアイテム:トート(Jil Sander)
Jil Sander ベージュ & オレンジ スモール ビーズ マーケット トート バッグ
Jil Sanderは、このメッシュにビーズをあしらったトートで、柔らかさと硬さの対比というデザインのアプローチを自ら否定する。繊細なベージュのオーガンザに、チューブ状のオレンジのビーズが縫い付けられ、みすぼらしい日常使いのトートが、優雅な海の生物か、ザルを彷彿とさせるアイテムへとグレードアップしている。