コンテンポラリー コントラポスト

西欧古典芸術は、コントラポストで感情を表現した。静謐、平安、苦悶の雰囲気。ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」然り、ミケランジェロ作「ダビデ像」もまた然り。現代人の意思疎通には、当然ながら機械が結び付いている。俗に言う悪い姿勢は、議論の余地はあるにせよ、テクノロジーの支配を受け容れた身体の弛緩に他ならない。

予言者のごとき理論家ダナ・ハラウェイ(Donna Haraway)は、1984年のエッセイ「サイボーグ宣言」(原題：A Cyborg Manifesto)で論じている。すなわち「現代という神話の時代では、人間は誰もがキメラ、理論化され組み立てられた機械と生物の混合体である」。未来に関するものの多くは時代の流れと共に陳腐化しがちだが、ハラウェイのこの陳述は、時の経過と共に時代との関連性を深めているように思われる。信念体系のあらゆる揺らぎと同じく、私たちの身体的自己はゆっくりとテクノロジーの付属器官に馴染み始めている。常に刺激を求める欲求から、人体の輪郭は変形していく。

自撮り写真に思いもかけずいやらしい二重顎が写って、唖然とする。いつもながら、片肘で体重を支えて、空いた方の手だけでキーボードを打とうとする。食卓では、携帯の上に屈み込む。バスの中では、絡み合ったイヤフォンのコードに巻きつかれる。ベッドでは、仰向きになった胸の上でラップトップのバランスをとる。私たちは単に機械が動作するための経路なのか、それとも、身体の制約が機械をも包含した主体を生むのか？

レベッカ・ストーム(Rebecca Storm)は、SSENSEのフォトグラファー兼エディターであるほか、「Editorial Magazine」でもエディターを務めている