J.W. Andersonのバッグは「態度が悪い」

プレフォール・コレクションに登場したアクセサリーは、若者の苦悩に秘められたパワーに訴える

  • 文: Reva Ochuba
  • 撮影: Haw-lin Services

新たに誕生したアイコンが語る、今シーズンとりわけ注目すべきアイテムの誕生秘話

蔑視の的から社会的マドンナに変容した鼻ピアスは、高校でみんなに変わり者と思われていたのに、どういうわけか今はインスタグラムで数十万人がフォローする、あの女の子を連想させる。彼女が学校の食堂で展開するアナーキズムは、優しい調教師によって鼻輪をはめられた猛牛と、共通する特徴があった。かつて問題とみなされた非行的な性格は、デジタル時代の常に光り輝くスポットライトの下で、自信に溢れたパワーを発揮している。「ダイヤがまだ原石だった頃」。彼女のエージェントは、後に、彼女の悩み多き時代をそんな風に説明することだろう。

J.W. Anderson(J.W. アンダーソン)がかなりエキセントリックな2016年プレフォール・コレクションで発表した「ピアス バッグ」は、アウトサイダーとしてのポジションとファッションに対する現在の評価を結び付けている。可愛らしいアコーディオン型のシェイプと穴の開いたフロントが目を引くバッグは、不揃いな形状を贅沢なレザーとスエードに包み込んで、荒削りの、理解されない、はみ出しものの核を守ろうとしている。つまり、アウトサイダーがラグジュアリーの門扉を強襲しただけではなく、いまや内部に侵入して、居心地良く寛いでいる事実を物語っているのだ。現代オルタナ主義の全身的体現として再生した鼻ピアスが、いかにして現代のファッションの最前線に登場したのか。それを調べるには、優に数日を要することだろう。民族文化に欠かせないこの神秘的なアクセサリーは、今なおミステリーとクールが交差する地点に厳として留まりつつ、タブーからトレンドに変容した。

Andersonのその他のコレクションアイテムは、異端の象徴であることをさらに証明している。難解なフォルムは、彼が、歴史的な前例を引き合いに出すことなく、抽象化された実用性の意義を通してファッションを捉えることを示している。この思考プロセスを巧みに実践することで、シミュレーションした要素を相反する質感や構造と並置し、異世界的エレガンスが滲み出るコレクションを構成する。立体的なポケットで丸みを帯びたクラシックなスウェットシャツは、ニーズと欲求を区別する認識能力を停止させる。それは金儲けと大売出しの境界線にまたがっている。実践としてのファッションは、革命的ではなく、進化的である。得体の知れないものについて沈思黙考して、時間を浪費してはいけない。言うまでもなく、成功は一夜のうちにして起こるのだ。

  • 文: Reva Ochuba
  • 撮影: Haw-lin Services