モリー・ベアの新たなスーツ スタイル

スーツとスニーカーの上手な合わせ方

  • 写真: Felix Leblhuber

かつてスーツが象徴したような、権力に対する昔ながらの認識は、今ではすっかり時代遅れになっている。今日のCEOはアスリージャー スタイルに身を包み、オーダーメイドのスリー ピース スーツには見向きもしない。リンダ・エヴァンジェリスタ(Linda Evangelista)、クリスティー・ターリントン(Christy Turlington)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)が、髪をテカテカになでつけ、それぞれオレンジと青と黒のスーツで石畳の通りを闊歩する、1990年にブルックリンで撮影されたPeter Lindberghの有名な写真。モデルのギードレ・デュコースカイテ(Giedre Dukauskaite)が、彼女の定番でもあるオーバーサイズのブレザーを巧みに着崩した姿。アーティストのアイビー・ホールドマン(Ivy Haldeman)の、人物はなく、揃って肘を曲げた2着のスカート スーツがシンクロしている様子を描いた作品、「Chartreuse Suit」。 これらを見ると、普通の正装がどれほど退屈か思い知らされる。さらに突き詰めれば、スーツとは、各パーツの総体であると言える。ブレザー、襟付きのボタンアップ シャツ、ネクタイ、そして折り目のついたトラウザーズ、ベルト。こうした衣服の組み合わせによって表すことのできる意味は、富、名声、喜び、哀悼、積極的な同調、そして反逆の欲求まで、多岐にわたる。さらに、かつて権力者のために作られたものを借用することで、説得力が生まれる。かのフリーダ・カーロ(Frida Kahlo)も、ディエゴ・リベラ(Diego Rivera)と離婚したその年に、彼のスーツを着た自画像を描き、結果としてその力を自分のものとして利用した。

今回、SSENSEの最新エディトリアルのため、フォトグラファーのフェリックス・レブルヒューバー(Felix Leblhuber)とスタイリストのステラ・デオピート(Stella Deopito)、モデルのモリー・ベア(Molly Bair)が、スーツの分析方法を披露する。スニーカーやタートルネック、あるいはウエストにベルトのついたブレザーを合わせるなど。言うまでもなく、2018年の新たなパワースーツとは、自分が望むままのスーツのことなのだ。

  • 写真: Felix Leblhuber
  • スタイリング: Stella Deopito
  • モデル: Molly Bair / The Society Management