Noon Goonsの「Surf Riot」
スケートボード、ストリート、サーフィンに熱狂する、南カリフォルニア発ブランド
- 文: Reva Ochuba
- 写真: Michael Townsend
- 動画: Mowgly Lee

Noon Goonsは、80年代のハードコアの美意識に共感し、南カリフォルニアに甦ったサーフィンやスケートボード文化の空気感に浸る。ブラック・フラッグ(Black Flag)、ザ・ジャームス(The Germs)、エージェント・オレンジ(Agent Orange)といったバンドのDIY精神は、現在なおロサンゼルス文化のDNAを構成する不可欠な要素であり、ロサンゼルス発のストリートウェア ブランドは、その精神を実践みせる。他とは明確に異なり、あらゆる要素が混在する地域に張り巡らされたネットワークで、最も大切なのは、好きなことを追求しながら伸び広がっていくことだ。Noon Goonsにとっては、仲間と集まり、サーフィンをし、スリリングに生きることを意味する。そう、スケートボードでエッジをグラインドするように。

20歳のビデオ作家モーグリ・リー(Mowgly Lee)がNoon Goonsのために製作したVHS短編シリーズの最新作「Surf Turf」は、まさにそれらのシンプルな喜びがテーマだ。今日に至るまで、ストリートウェアから決して失われたことのないラディカルな姿勢を忠実に反映して、カメラは、永遠に反抗を求め続けるNoon Goonsとその信奉者たちの姿を追いかける。往事のロサンゼルスが常に乱暴狼藉を抱えていたとするなら、「Surf Riot」は今や現代のメトロポリスとなった街へのローファイなラブレターだ。
サーフボードを従えた車でダウンタウンを走りながら、ブランドの創設者カート・ナーモア(Kurt Narmore)が、LAとSoCal(南カリフォルニア)ストリートウェアを特徴付ける原理について、レヴァ・オチューバ(Reva Ochuba)に語る。

レヴァ・オチューバ(Reva Ochuba)
カート・ナーモア(Kurt Narmore)
レヴァ・オチューバ: この街で、いちばん刺激を受けるのはどんなところですか?
カート・ナーモア:ここは、文化的にいろんな影響があるんだ。考えられる限り、何でもあるよ。サウスセントラルを下って、工場まで車を走らせるときは、ウィンドウを下げて、外で流れている音楽を聞くんだ。みんなゆっくり流していて、まさにLAのエネルギーを感じられるよ。
好きなエリアをいくつか教えてください。
ダウンタウンが好きだな。ファッション地区は荒削りだけど、もっと活動的だし、エンターテイメントも多い。サーフィンも、オレはウェストサイドでよくやってるんだ。
ダウンタウンには、どこか絶好のスケートスポットがありますか?
ここは、ストリート スケートやクルージングをする場所には苦労しないよ。オレのパターンメイカーの隣は、シティバンク・レッジっていう所なんだけど、地面がすごく滑らかで、スケートにはもってこいなんだ。横に酒屋があるから、仲間がビーチから上がってくるときは、そこに集まって、1時間ぐらい滑るんだ。ただのレッジなんだけど、すこぶる楽しいね。カルマートの横のシティバンク。あそこには良いエネルギーが流れてる。好きな場所だよ。



次期オリンピックから、スケートボードが正式種目になると聞きました。
そうだよ。スケボーとサーフィンも。
もしNoon Goonsがアメリカ代表スケボー チームのユニフォームのデザインを依頼されたら、受けますか?
もちろん、やるよ(笑)。そういうことに、ノーなんて言わない。オレたちのデザイナーRick Klotz(リック・クロッツ)なら、きっと驚くアイデアを思いつくはずだ。ロサンゼルスで生まれて、育って、ロスを代表する文化のことなら何でも知ってるから。パンク ムーブメント、イースト ロサンゼルスのラテン系の動き、サウス セントラルの文化、高速道路がどうやってロサンゼルスを二分したかっていう歴史。何でも知ってる。すごい量の資料の引き出しが、頭の中にあるんだ。彼とはとてもスムーズに仕事ができるし、南カリフォルニアとわれわれのブランドを結びつける上で、ずいぶん知恵を出してもらってる。

あなたのブランドには、全く飽きがきませんね。
コレクションの中で、90%は時代に関係のないスタイルになってる。もちろんもっと主張の強いアイテムもある。2016年の秋コレクションだと、オレの好きなのはウィンドブレーカーだね。大胆なカラーブロックで、クラブパンツととてもよく似合う。2017年の春だと、クラブジャケットがお気に入りだ。すごくシンプルなコーデュロイのシェル ジャケットで、クレイジーなとこは全くないんだけど、清潔で、いかにも本物らしくて、贅沢な感じがする。

メンズウェアでは、ミニマリズムがスケートボードの流行と結び付けられているように感じます。スケートボードでは、快適でクールで動きやすいことが問われますからね。
スケーターにとっては、それが基本だよ。だからスケーターが着るものも、まさしくそのとおり。スケートするときに着るように作られていて、Levi’sと同じぐらいか、それ以上に長持ちする。スケートのためなんだけど、でも、ちゃんとしたディナーやデートにも出かけられる。
あなたのアイデアは、いつもどこから出て来るんですか?
毎日の自分の活動から出てくるし、子供の頃にやっていたことから生まれてくることもある。スケートボードやサーフィンをやったり、アドルセンツ(the Adolescents)やJFAを聞いたり。よくアイデアが湧くのは、昔のパンクのチラシなんだ。文字のフォントとか、レイアウトとか、全部が面白い。
「Surf Riot」のビデオは、どうやって形になったんですか?
モーグリ・リーっていう、カリフォルニアのコスタ メサに住んでいるすごいやつがいるんだ。時々、一緒にサーフィンしてたんだけど、出回っている彼のVHSビデオを1本見てね。で、次に会った時、「何かクールなビデオをいっしょに作ろう!」って言ったら、やつもすごく乗り気になった。ビデオに出て来る連中は、全員、いつもサーフィンしたり、スケボーしたり、一緒に騒いでる仲間なんだ。カメラを回すとき、まわりにいる若いヤツらを適当に集めて、クールなビデオができたんだ。オレたちのやっていることを理解していて、同じ生活を実践していて、体でわかっているヤツに参加してもらいたいんだ。「ヘイ、オレはこういうことやってるんだ。君たちもそういう生活をしてるんだから、いっしょに撮影しようよ」なんて声かけるのは、オレには簡単だから。それで、全く苦労しないで、良いものができるんだ。

なるほどね。
オレたちは、リアルなキッズの集まりなんだ。シャツに1枚にとっても、それがうってつけなんだ。こっちに来て、オレたちといっしょに盛り上がろうぜ。楽しんで、スケボーして、サーフィンしようぜ、って。全然、変じゃないさ。
- 文: Reva Ochuba
- 写真: Michael Townsend
- 動画: Mowgly Lee