Rae Sremmurd: “Forever in the Flex Zone”

Swae Lee and Slim Jxmmi Speak Out on Their Creative Process and Being Married to the Luxury Game

  • 文: Reva Ochuba
  • 写真: Saamuel Richard

録音技術を用いたエンターテイメントが生まれて1世紀以上、各々の世代が独自の若者像、セクシー像、そして向こう見ずな姿を提示してきた。60年代のヒッピー、70年代のディスコ、80年代のパンクス、90年代のレイバー。そして今日、誕生から40年を経たヒップホップが、現代のライフスタイルを作り出す装置となったのだ。ラッパーをまるでロックスターのように崇める時代において、ミシシッピ州で育ったラップデュオ、Rae Sremmurdは、その新たなセレブリティ像を体現するアーティストだと言える。インターネットの雑種性によって、ジャンルの垣根自体がすでに時代遅れのものとなった今、彼らは新たなメインストリームの申し子とも言うべき存在だ。Aaquil “Slim Jxmmi”とKhalif ”Swea Lee”の兄弟が作り出す音楽には、まるで万華鏡のように変幻自在な視点が溶け込んでいて、リスナーがともにDabダンスを踊ろうが、モッシュをしようが、一緒に口ずさもうがいっこうにかまわない。彼らの音楽は、インターネットや携帯電話の環境に生まれ育ったZ世代の定義を、絶えず更新し続けるオルタナティブな可能性に満ちている。

ロサンゼルスリバーの川底に立ち、Saint LaurentComme Des Garçons Homme Plus、そして3.1 Philip Limに身を包んで撮影に応じるSlim JxmmiとSwae Leeは、世界のトップが見せる独特のエネルギーを放っている。彼らのデビューアルバム「SremmLife」は、冬にリリースされたにも関わらず夏を彩る最高のサウンドトラックに聞こえる。「ミッドナイトブルーのマセラティで、東京がハリウッドヒルズを走り抜けていく」かのような夏の空気を感じさせるのだ。Beyoncéの世界ツアー「Formation」への出演と「SremmLife 2」のリリースが間近に迫り、ますます勢いを増す2人。彼らを見れば、同じミシシッピ州テューペロ生まれのElvis Preslyも一抹の嫉妬を覚えるかもしれない。天井知らずを地で行くRae Sremmurdの2人は、イタリアンメンズウェアブランドの話をするときも、女の子やお気に入りの大麻の話をするときも(彼らはガールスカウトいう名前のハイブリッド種が好きらしい)、変わらずくつろいだ雰囲気を漂わせている。Reva Ochubaが、Slim JxmmiとSwae Leeに会い、ファッション、ラグジュアリーについて、そして現代のロックスターを思わせる彼らのライフスタイルについて話を聞いた。

Reva Ochuba

Slim Jxmmi, Swae Lee

Reva Ochuba: おふたりにとって自分のスタイルとは何でしょうか?

Slim Jxmmi(以下、SJ): 自分がハッピーになれることをするってことかな。
Swae Lee(以下、SL): 俺のスタイルは、ただインパクトを生み出すってことさ。わかるだろ? 自分にとって自然なやり方で物事を進める。それはつまり自分が誰なのかってこと。

では、ファッションにおいて、おふたりにインパクトを残すものはなんでしょうか?

SL:体に合う服だね。別にぶかぶかのシルエットである必要も、おかしなところにカッティングが入っている必要もないんだ。

SJ:エキセントリックなものかな。そういうものが、ファッションを生き生きさせる要素だと思ってる。目にした瞬間に「マジかよ、何だこりゃ?」と思うようなものさ。

例えばこのComme de Garçonsのハットもそんな気持ちにさせるアイテムですか?

SJ:その通り。大きな赤いサングラスや大きいハットを持ってるよ。身に付けるとハッピーな気持ちになるね。

あなたはどうですか? 今回の撮影で着た服の中で「わぁ、これは欲しい」という気分になったのはどれですか?

SL:Dolce & Gabbanaのシルクの服だろうね。あとはこのSaint Laurentのサングラス。

確かに。すごく気に入っているように見えました。鏡でずいぶん自分の姿を見ていましたしね。とても格好いいですよ。

SL:それと、この茶色のチェルシーブーツかな。

チェルシーブーツは好きですか?

SL:うん、どの色も好き。全色揃えるのが目標かな。すごくいいと思う。

あなたたちにとって「ラグジュアリー」とは何でしょうか?

SL:ラグジュアリーは、つまり自分が一生懸命働いたお金を費やして何かを買うということ、そしてそれによって自分が幸福を感じるということだと思うよ。豪華ってことだろうね。みんなが注目して、「これは単なる子供騙しじゃねえ、紛れもない本物だ」ってなるものかな。ある人にとってはダイヤモンドのRolexかもしれないし、ある人には小さなイヤリングかもしれない。

今つけているイヤリングは何ですか?

SL:Michael Jordanのようなフープイアリングを着けているよ。Rolexのピンキー リングも着けてる。今日はリラックスした気分だったからね。小さなダイヤモンドの結婚指輪もしているね。俺はラップと結婚しているから。今日は楽な気持ちでいたよ。いつもはルビーを身につけるんだけどね。でも今日は楽な気持ちでいたんだ。

今日は楽に構えていたってことですが、どういう意味でしょう

SL:今日は軽めの仕事だったからね。軽めの仕事だったってことだよ。

なるほど。今回の仕事が軽めの仕事だとすると、普段はどんな感じなんでしょうか?

SL:でっかいダイヤモンドをつけるのさ。Rolyのね(Rolexの俗称)。

SJ:自分にとっラグジュアリーは、毎日見ることのない何かかな。みんながオールドスクールな車を持っているわけではないし、それは贅沢品さ。なぜならもう残っていないからね。誰も持っていないような物、それが贅沢品だろうね。

つまりレアなものということですね。

SJ:うん。珍しさはラグジュアリーだと言うことができるだろうね。別に莫大なお金をかける必要はない。超高額である必要なんてないのさ。それに大きくなくたっていい。でもどこにでもある訳ではないもの。それが贅沢品だと思うよ。

その感覚を表してるとすれば、どのブランドだと思いますか?

SJ:Jeremy ScottやLouis Vuitton、Gucci、Dolce & Gabbanaは好きだね。それからMaison Margielaも。このコートはMonclerのものだよ。Moncler もすごく好き。それから、なんだっけアレ…、そうそうBalmainもね。

SL:俺が好きなのは、D&G、Naked and Famous、Moschino。Moschinoはかなり好きだね。それからH&M。俺が着れば、何でもデザイナーズの服に見えちゃうのさ。わかるだろ? 店に並んでいるシャツがごく普通のシャツだとしても、それが自分の目に斬新に映れば、それを選ぶだろうね。そして、その服を着ているとき、みんなは言うのさ。「それはどこのシャツなの?」ってね。そして俺は、「なんの変哲もないシャツだよ」って答える。そして、結局それが流行っちゃったりするんだ。

SJ:最近、Gucciのソックスに出合ったんだ。だから、ショートパンツを履く時は必ず、Gucciのソックスだね。単純に、みんなにGucciが好きってことを知ってもらいたいから。「オレは Gucciだ!足の先まで」ってね。その上に、グッチの靴だって履くかもしれないよ。

今日もGucciの靴下を履いてるんですか?

SJ:いや、今日ここに来るときはショートパンツではなかったから、Poloの靴下だよ。でもショーツのときは絶対にGucciさ!

今着ているものはどこのブランドのものですか?

SJ:ちょっとわからないけど、すごくイケてるよね。

なんのブランドかチェックしてもいい?

SJ:もちろん良いよ。

Phillip Limじゃないですか。

SJ:なるほど。じゃあPhilip Limに、メガネはJeremy Scott、ネックレスは大きなダイヤモンドのクロス。ブラックダイアモンドは好きなんだ。イケてると思うよ。カナリア色のダイヤモンドがすごく欲しいんだ。それが、次に欲しい物のリストに入るアイテムかな。

レインボー色のダイヤモンドは、今すごく人気ですよね。

SL: 俺はレインボーダイヤモンドの入ったネックレスを持ってるよ。でも誰もわからないんだ。

なるほど。

SL:知ったら、きっとおかしくなっちゃうだろうからね。

君たちが、欲しいと強く望むものはなんですか? すごく特別だからこそ「これは欲しいなあ」と思うような場所や、自分がなりたい人があれば教えてください。

SL:いつかアメリカンコミックのアイアンマンと同じ家が欲しいと思っているよ。同じ家。つまりすごく未来的で、いろんな機能がついている家さ。彼は家の中でいろんなことができる。必要なものは全て家の中に揃っているから、家を出る必要がないんだ。

実際に「Maseratiをミッドナイトブルーに塗装」(彼らの曲「Lit Like Bic」のリリックの一節)したことは今までにありますか?

SL:実はPorscheに行ってPorscheを買ったんだよね。でも、すぐにBenzのGTを手に入れるつもりだよ。代わりにジョイントでもミッドナイトブルーに染めようかな。

個人的に、 Rae Sremmurdのファンとして、「SremmLife」を全体通して何度も聴いているんですが、今までリリースされたシングル曲を聴いた限り、次のアルバムはより緩めな雰囲気だということに気が付きました。曲が前のようにハイではないというか… 。

SL:うん、確かにそこまでハイな感じではないね。

これが意味していることは何でしょうか? あなたたち自身が、より落ち着いたということなんでしょうか?

SL:次のアルバム、ぜひ聴いてほしいな。まだアルバム内で一番良い曲はリリースしていないからね。

SJ:それは段階の問題だと思うよ。アルバムへの段階ね。僕たちは、自分たちを箱の中に閉じ込めたくはないんだ。最初のアルバムとまったく同じような曲は作りたくなかった。けど、同時に前と同じ「おお、いいじゃん」というフィーリングは感じてほしかった。わかるかな? だからこれからも、良い音楽、リスナーを気持ちよくさせる音楽をリリースしていくつもりさ。でもそれが必ずしも、ハイである必要はないというだけだね。

制作過程について教えてください。音楽を作っているとき、もしくは曲を始めるとき、どんな感じのプロセスを経るんでしょうか?

SJ:まずビートを流して、それから僕はフリースタイルをするためにゾーンに入る。いったんゾーンに入ってしまえば、自分が何を言っているかは気にならないね。ただ言葉を発しているだけなんだ。

SL:俺のクリエイティブプロセスは、ビートをもらう。最初はまず、少なくとも5種類はビートを聴かないといけないかな。ビートの中に入り込んでって、そこから熱を入れて、とりあえず何でもいいから録音するんだ。5種類のビートをくれって言うんだけど、もしかしたら100種類のビートを聴くかもしれないし、200種類かもしれない。

本当ですか?

SL:でもひとつのビートを選んで、そのバイブスをつかむ。そして、「このトラックに、どんな風にクレイジーに乗れるかな」と考えるんだ。他のヤツがやってるみたいにはやりたくないだろ。ビートを聴いたときに、何かが降りてくるみたいな感覚かな。それが次の日になることもあるかもしれない。でもそれが降りてくれば感じるんだ。そしてレコーディングして、自分が何を言っているのかを考える。「おお、カッコ良いじゃん。こんなの今まで誰も言ったことないぜ」て具合になる。そしてピンと来るまでメロディーを選んでいく。そこにアドリブを重ねて行く。

Rae Sremmurdのトラックの中で、私のお気に入りの一曲は「Lit Like Bic」です。それはなぜかと言うと、曲の中にパンキッシュなエッジが効いてるからなんですが、2人はどの程度カンターカルチャーと自分たちを重ね合わせているんでしょうか?

SL:俺はファンクに自分を重ねているよ。

SJ:自分はシャツを破ったりするし、わかるでしょ? 僕たちは、いろんなカルチャーを混ぜ合わせていくのが好きだね。ラップやポップという方法だけにとらわれたりしないから。ただ、自分たちがやりたいことをするだけさ。何というか、それが素直なやり方だと思うんだ。

SL:俺はファンクだね。俺たちはパンクロックだって楽しんでいるだろ? つまり、俺はモッシュしたりだって出来るってこと。わかるだろ?

SJ:それからクラウドサーフィンも好きなんだ。僕はシャツをはだけて着るし、お腹にはタトゥーだってある。SremmLifeだよ(SremmLifeは彼らの造語)。クラウドサーフィンは超楽しいよ。

SremmLifeの意味は、2年間でどんなふうに発展してきたんでしょうか?

SJ:単に言葉から始まったものだけど、今やそれは現象になった。タトゥーにもなってるしね。何というか、やってやったって感じかな。ネットを見てみれば、みんなが「SremmLifeのタトゥーを彫ったぜ」って僕をタグ付けしているし。彼らは純粋に、SremmLifeという言葉から、楽しむとか細かいことは気にしないていう考え方を連想しているんだろうね。それか、先公たちに悪態ついてやるとか、とにかく楽しんで生きるとかかもね。とにかく楽しく生きる、それがSremmLifeの意味するところさ。

ツアーがもうすぐ始まるんですか?

SJ:そうだね。金曜日にシカゴでBeyoncéとライブがあるよ。彼女とのツアーが始まるんだ。SremmLife!

SL:女王さま、調子はどうだい!?

SJ:みんな準備はいいか、SremmLifeクルー!

SL:その後は、セカンドアルバムのためのツアーに出発するよ。「SremmLife 2」が間もなくドロップされるんだ。でも発売は少し延期させる予定だよ。もう何枚かシングルをリリースしたいからね。すごく良いアルバムだから、そう簡単には発売したくはないんだ。

私たちはFlex Zone(見栄を張ることが許されている区域の意。彼らのデビューシングル「No Flex Zone」から。)から抜け出したんでしょうか?

SL:いや、俺たちは永遠にFlex Zoneの中にいるのさ。俺は永遠にね。 Aaquilだって同じさ。

  • 文: Reva Ochuba
  • 写真: Saamuel Richard
  • スタイリング: Dianne Garcia
  • ヘア&メイクアップ: Tracy Love