BalenciagaとVetementsが示すダウンの包容力
ダンコ & アナ・シュタイナーの写真で見る究極の防寒システム
- 写真: Danko Steiner

覚えている人もいるだろう。90年代後半、小説を元に制作され、ヒットした映画『ファイトクラブ』の中で、エドワード・ノートン演じる「ナレーター」が、「長い時間の中でみれば、誰の生存率でもゼロになる」と言う場面を。

モデル着用アイテム:ジャケット(Balenciaga)、フーディ(Gosha Rubchinskiy)
冒頭の画像 モデル着用アイテム:ジャケット(Vetements)、フーディ(Martine Rose)
ファッション業界の大部分が、そもそも90年代後半のアイデアをそのまま転用して使っていることを考えれば、この論理もファッションに流用して構わないだろう。この論理によると、長いタイムスパンで見れば、人の寿命は短く、私たちはみな赤ん坊と同じなのだ。赤ん坊ならば、当然、暖かくして心地よくする必要がある。そしてしっかり保護されながらも動きやすくなくては。このような観点から、ダウン ジャケットこそ最も実用的な衣服といえるだろう。軽量で、フワフワしていながら断熱性に優れ、モコモコとかさばるがスマートだ。ダウンは特別な服なのだ。 すぐれた機能性によって着る者が引き立つ。ダウンに包ままれる温かさは、ただ寒い日に抱き合って感じるようなものではない。もっと、永遠に続く抱擁のような安堵をもたらす温かさだ。あまりに着心地が良いので、もはや腕を伸ばして誰かに触れたいという気持ちすら消えてしまう。デザイナーがダウンコートを賛美するのは、ネットワークの海で孤立した時代を生きる私たちにこの安心感が必要だと気づいたからだ。気温が氷点下に下がっても、ダウンさえあれば、命が尽きるまでめげずにやっていける

モデル着用アイテム:ジャケット(Balenciaga)、フーディ(Gosha Rubchinskiy)

モデル着用アイテム:ジャケット(The North Face)、フーディ(Martine Rose)

モデル着用アイテム:ジャケット(Vetements)、マフラー(Vetements)、フーディ(Vetements)

モデル着用アイテム:スニーカー(Vetements)、ジャケット(Mackage)、トラウザーズ(Raf Simons)
- 写真: Danko Steiner
- スタイリング: Ana Steiner
- モデル: Lucas, Rosie