夏色で走り出せ

SSENSEのお天気お姉さん、エリカ・フウルのトレンド予報

  • 写真: Rebecca Storm

さあ、乗って! 車で旅に出るよ。行き先? それはもちろん、ハイプ村に決まってる。私のオシャレ予報士としての専門知識で一気に加速したら、この夏のアクション満載アドベンチャーは、忘れがたい特別な思い出になること間違いなし。ここに聖域など存在しない。道中で身につけた、あらゆる服は注目の的になるだろう。重要なのは、日が昇り、焼けるような暑さが戻るとき、隅から隅までクールでありながら、どれほど自分が暑くて熱いかをアピールできるワードローブに磨きをかけることだ。この信念を貫けば、高速道路を行くときも、オフロードを行くときも、あらゆる最高の夏フェスのVIPセクションに紛れ込むときも、間違いない。では、サングラスとおやつを持ったら、車に乗り込もう! でもその前に、私のトレンド予報をチェックするのをお忘れなく。これを見れば、人々の視線を集めること必至の、写真映えする服でトランクをいっぱいにできること請け合いだ。

スーパーカーの着こなし

車がない? でも大丈夫。服装自体が高性能なレーシング カーになれば、車の問題など気にすることはない。今シーズンの自動車からインスパイアされたデザインの数々のおかげで、クローム ホイールのような靴、炎が噴き出す排気管のようなトラウザーズ、そして、割れないフロント ガラスのような耐候性のあるPVCのバイザーなど、最高の装備を集めることができる。カッコいい車に飛び乗る必要はない。カッコいい車は、あなた自身なのだから。

どこもかしこもバケット ハット

2019年の春夏コレクションにはラウル・デュークが見事にはまる。現に、このハンター・S・トンプソン(Hunter S. Thompson)原作、ジョニー・デップ(Johnny Depp)主演の有名な『ラスベガスをやっつけろ』の主人公は、今現在の世界の状態をそのまま絵に描いたような人物だ。過激で、ぶっ飛んでいて、ドラマの「一気見」が公衆の問題として頻繁に取り上げられ、環境問題に過剰な不安を抱く、ソーシャルメディア中毒の世代。このような混沌とした時代には、リラックスするのにバケット ハットが必要だ。この帽子なら、バケット リストに書いたことを達成していく喜びにも繋がる。当然、ケムトレイルから身を守るために思いつくのは、デュークのお気に入りの帽子だ。誰もが満足できるプリント柄のバケット ハットが、パイソン柄から、チェック柄幻想的なフローラル柄まで揃っている。国立公園で目立ちたいのであれ、単に頭を守りたいのであれ、バケット ハットは自動車の旅の必需品だ。

トイレ休憩でピクニック

研究により、旅行が私たちの食欲に直接的影響を与えることが示されている。私たちは移動中、普段以上にお腹が空き、食事の誘惑に駆られる傾向があるそうだ。おやつが必要なのだ。それも今すぐに。チップスにディップにサンドイッチ。サンドイッチは今食べる分と後で食べる分のために、半分に切っておくこと。たとえ、最初の半分を食べた直後にもう半分を食べてしまうとしてもだ。これがあれば、路肩に車を止めて、旅をさらに引き延ばすのもずっと楽しくなる。ドライブ中の休憩は、足を伸ばしたり、いちばん近いトイレに駆け込んだりする絶好の機会だ。だから、それにふさわしい服装をしよう。眺めの良い休憩所という世界観で、見たいと思うピクニックに自らなろう。フルーツ柄のプリントならMarc JacobsMSGMGucci、かごバッグならKenzoLoewePradaもいいだろう。そして、ギンガム チェックの夏の魅力を取り入れよう。長時間のドライブはキュートとは言いがたいが、ピクニックの装いならキュートでいける。三つ編みのおさげで可愛さ効果はさらにアップ! トイレ休憩がこれほど計画的に見えたことは、いまだかつてなかったはずだ。

悩みを捨て、世界に飛び出せ

旅行専門ビデオ ブロガー、キャンピングカー生活者、一緒にバカンスに行くカップルたち。これが「旅行熱」を掻き立てる#wanderlustだ。ひとたび現実から逃避してしまえば、世界はまさに自分の思いのまま。探検にもおのずと力が入る。そして服装は、「自由に生きる」という贅沢を反映したものでなければならない。パーフェクトな夕日の背景は、会社勤めする人間のライフスタイルのいかなる形跡によっても汚されてはならない。花の冠、タイダイ染めのあらゆるアイテム、Birkenstockのような靴 (履きたい場合に限る)、そしてこれらすべてを締めくくるのが、WiFiの電波が届かない場所で得られる、ほんわかとした感情だ。これで、GoProのようなアクション カメラに常時必要なスタイルが完成だ。マチュピチュからバリ島のハンギング ガーデンズまで、Instagramの990万件以上の投稿が何かを示唆しているとすれば、それは、#wanderlustがただの感情ではなく、ライフスタイルだということだ。

路上のロックスター

ジャック・ケルアック(Jack Kerouac)の『オン・ザ・ロード』から、キャンド・ヒート(Canned Heat)、ボブ・ディラン(Bob Dylan)、ウィリー・ネルソン(Willie Nelson)各人の「On the Road Again」、そして2019年、ビリー・レイ・サイラス(Billie Ray Cyrus)も参加したリル・ナズ・X(Lil Nas X)の「Old Town Road」に至るまで、決して消えない考えがある。「一刻も早くここを抜け出したい」という思いだ。では、いつなんどきでも立ち去る準備ができていることを表す最前の方法は、何だろうか。おそらく、自分はそれについて歌を作るまでになっている、ということを仄めかすことだろう。現実的に言って、ほとんどのミュージシャンには車を買うお金などない。だから、ギターを背中に掛けて地平線に向かってヒッチハイクで出かけよう。日記をつける才能を示すため、あるいは処女小説を執筆するためにも、ノートを手に持っていくか、胸のポケットに入れていくものも忘れずに。ボロボロになったMoleskineのノートなら、一層ポイントが高い。髪をベトつかせ、顔は垢で艶を出そう。どのみち鏡なんて必要ないのだ。そして、予想外の場所で寝る場合に備え、いつだって忘れずに、もう1枚追加で上着を腰に巻きつけておくこと。万が一、道路脇にたったひとり放り出されてしまい、なすすべもないときは、次の言葉を唱えて、自分自身の無謀さを美化することを思い出して。

「僕は狂った連中が好きだ。狂ったように生き、喋り、すべてを欲しがる連中。ありふれたことは言わない。燃えて燃えて燃え尽きる、夜を彩る花火のように」

  • 写真: Rebecca Storm
  • スタイリング: Romany Williams
  • 文: SSENSE エディトリアル チーム
  • 翻訳: Kanako Noda