WETと見る真夏の白昼夢

新アルバム リリース直後のニューヨーク出身インディー ポップ デュオをSSENSEが捉える

  • インタビュー: Romany Williams
  • 写真: Mat+Kat / The Industry Management

ドブスフェリーはブルックリンからたったの1時間半だというのに、WETがここに来るのは今回が初めてだ。ハドソン川沿いにある私有地で、SSENSEはインディー ポップ デュオに会った。WETメンバーのケリー・ズートラ(Kelly Zutrau)とジョー・ヴァレ(Joe Valle)は、各方面から高い評価を受けた2枚目のスタジオ アルバム『Still Run』を発売したばかりだ。「ここはニューヨークでいちばんラッキーな人たちが住むような場所なんだろうな」と、ドブスフェリーに来たズートラは言う。「こんなにも都会に近いのに、うっとりするような田舎の雰囲気」。音質的にも、田舎はWETにぴったりだ。『Still Run』では、恋人との別れや遠くの街への引っ越しのような、苦難を乗り越えたあとの静謐さに、小さな町の愚直さが混じり合う。

Kelly Zutrau 着用アイテム:ピアス(Miu Miu) 冒頭の画像のアイテム:シャツ(Prada)トラウザーズ(Prada)ピアス(Miu Miu)

『Still Run』のアナログ盤リリースに向け、クーパー・ユニオン大学で絵画を学んだズートラと、ニューヨーク大学卒のヴァレは、特別に描き下ろしたイラスト入りのライナーノーツを100部用意し、そこでズートラのオリジナル作品と手書きの歌詞を紹介した。レコードを買った人の多くが感謝の手紙やネットで投稿したのを見て、彼らは驚いた。「音楽の中の、こういうちょっとした瞬間をもっと見つけたいと思ってる。だって、大手レーベルの巨大企業の世界にいるときは、大きなスケールの波に飲まれて、自分を見失ってしまうことがあるから」とズートラは言う。「私は、なぜ音楽に意味があるのかを思い出せるような、こういう小さな瞬間をクローズアップしようとしているの」

都会の住民が意味や悟りを求めて訪れる先として、田舎は定評がある。新アルバムのリリースによって、この2人組が、歌詞だけでなくスタイルの面でも、自分を表現するだけの自信を深めつつあることは明らかだ。フォトグラファーのマット + カット(Mat+Kat)が、田舎の土地を探索し、プールに飛び込み、Gucciのタイツで木に登るWETの姿を捉えた。それも当然。ニューヨーク州の片隅で、木に登り、夏の日差しを浴びて草に寝転ぶことほど、『Still Run』を消化するのにうってつけの方法はない。

Kelly Zutrau 着用アイテム:クルーネック(Miu Miu)スカート(Balenciaga) Joe Valle 着用アイテム:クルーネック(Prada)

Kelly Zutrau 着用アイテム:クルーネック(Miu Miu)スカート(Balenciaga) Joe Valle 着用アイテム:クルーネック(Prada)

  • インタビュー: Romany Williams
  • 写真: Mat+Kat / The Industry Management
  • スタイリング: Alison Isbell
  • 写真アシスタント: Katie Tucker、Axel Swan
  • スタイリング アシスタント: Alex Picon
  • ヘア: Evanie Frausto
  • メイクアップ: Megumi Onishi
  • セット デザイン: Evan Schafer
  • 制作: Lauren Stocker