ジョルジャ・スミスへの19の質問

R&Bのスターが、名声と心気症、失恋を重視しないことを語る

  • インタビュー: Nazanin Shahnavaz
  • 写真: Sylvia Austin

「アイドルになるなんて夢にも思わなかった」とジョルジャ・スミス(Jorja Smith)は言う。「今でもアイドルにはなりたくない」

21歳のイギリス人アーティストは要領を得ており、状況をよくわかっている。セットでは、撮影用にスタイリングした服を確認しながら、彼女は分刻みのスケジュールを把握する。この夏に発売されたデビューアルバムの『Lost & Found』は、世界中のヒットチャートを急上昇中で、スターバックスで働いていたSoundCloudのアーティストは、一躍有名人となった。ジョルジャ・スミスは、警察の蛮行を訴えた4分間の楽曲「Blue Lights」で世に出た。それに続いて5曲入りのミニアルバム『Project 11』を発表し、これにより、彼女の優れたR&Bの才能は一気に花開く。スミスは現在、ストームジー(Stormzy)やカリ・ウチス(Kali Uchis)、ドレイク(Drake)のようなミュージシャンたちとコラボレーションを行なっており、中でも、ドレイクのいちばん新しい2017年のアルバム『More Life』では2曲に登場している。

セットの中で、彼女は素早く携帯でメッセージを打ちながら、立ってランチを食べている。ヘアとメイキャップの係に顔をいじられながら、彼女はライバルとの論戦に臨むかのように、堂々と、効果的に話す。「16歳のとき、決めたの。ずっと書き続けていこう、そして何か成し遂げよう、って」と彼女は言う。彼女の信念に反論するのは難しい。そしてときに、その強固な自信は伝染する。だがジョルジャには全くとげとげしいところがない。彼女にはある種の柔和さがある。それは、優しく上下する声のピッチに感じる優しさに、音響装置をセットする間にじっとしている姿に、そして、自分の母親の手作りのジュエリーを見せてくれる仕草に現れている。国際的スターという遠い存在になってしまう直前のジョルジャに、ナザニン・シャーナバズ(Nazanin Shahnavaz)が話を聞いた。

ナザニン・シャーナバズ(Nazanin Shahnavaz)

ジョルジャ・スミス(Jorja Smith)

ナザニン・シャーナバズ:生活面ではどんな変化があったと思う?

ジョルジャ・スミス:プライバシーがなくなった。誰もが私が何をやってるのか知りたがっていて、誰もがすでに私が何をしているのか知ってる。そして誰もが私のやることに意見を持ってる。私が赤いドレスを着てる写真、見た?皆から妊婦みたいに見えるって言われた写真よ。自分のお腹がそれほどぺたんこじゃないことは、私だってわかったわよ。理解できないのは、どうして世の中には、他人を嫌な気分にするために、1日のうちの大切な3分間を費やそうという人がいるのかの方よ。そういうのには、できるだけ注意を払わないようにしてる。見たら、本当に悲しくなるし、何よりリアルじゃないから。何もリアルじゃないわ。

星座は何?

ふたご座。

今、恋してる?

してる。

恋人関係のことは、公開してるの?

付き合ってかれこれ1年よ。彼の名前はジョエル・コンパス(Joel Compass)で、私のアルバムのために「The One」という曲を一緒に書いた。歌詞と一緒に彼の写真を投稿したら、皆が「クソ野郎!」って反応だった。多分、彼にタグ付けするべきじゃなかったのね。それ以来、彼の写真は1枚も投稿してない。このことについて、カリ・ウチス(Kali Uchis)と話してたの。もし私が誰かとデートするなら、誰でもいいってわけじゃない。その相手は、誰も知らないような個人アカウントでプロフィール画像に魚の写真を使ってるような人じゃ、絶対にダメなの。

ドレイクは、あなたのタトゥーを入れたって聞いたんだけど、これって本当?

[笑] まさか、絶対に違う。あったとしても、私は見たことない。でも、もし彼が私のタトゥーをしてたら、ネットかどこかに出てるはずよ。見て、シャーデー(Sade)よ。今だったら、髪の周りにこのネットをつけたら、私にも見えるかも。

自分の性格をひとことで表現すると?

予測不可能。

普段は、どういう状況になると、頭に血がのぼるの?

あらゆる状況よ。あなたが変な目で私を見たとして、それであなたに腹を立てることだってありえる。

どういうことに対して、喜びを感じたり、涙を流したり、鳥肌が立ったりする?

誰かが死ぬシーンや、勇気づけられる場面があれば、私はどんな映画でも泣ける。最近『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を見たんだけど、最後のシーンで涙ぐんだわ。

運命を信じる?

いいえ。

何か後悔がある?

いいえ。

失恋したことはある?

いいえ。

では、最後に誰かを振ったのはいつ?

いつかなんて覚えてない。そんなこと本当にどうでもいいもの。私は、人からごちゃごちゃ言われることが多いけど、ひとたび関係が終わったら、引きずらないの。

孤独を感じたことは?

ひとりでいるのは好き。

どのようなレガシーを後世に残したいと思う?

強烈なやつ。人には音楽で私のことを覚えていてほしい。この先、他のことで名前が残るような、バカなことをやらないといいんだけど。

最近怖い思いをしたのはいつ?

私、本当に怖いものがないの。自分にかなり自信があるのよ。何か私が怖いと思うことがあるとすれば、自分でその原因を作っている。例えば頭痛がして、そのせいで自分に何か深刻な問題があるんじゃないかと心配するとき。私って最悪。私の恋人もそう。私たちって最悪なの。考えてもみて。私は「どこかがおかしいなんて言うのはやめて」って感じなんだけど、その後で「私の頭、どこかおかしいから、病院に行くわ」ってなるんだから、ひどいわよね。

あなたには、普通とは違う習慣や儀式がある?

モノにすごく執着する。考えにも執着することがある。そういうとき、自分を正して、理性を取り戻すの。私はあまり愛情表現もうまくないの。誰かが動揺しているとき、どうすればいいかわからない。だから抱きしめてあげずに、指1本で触ったりしてしまう。

あなたの集中を妨げる、いちばんの原因となるのは何?

私の携帯。正直に言えば、私はすごく気が散りやすいの。集中するのが難しい。ステージ上でも、常に他のことを考えてしまう。例えば、私が誰かに言った最後の言葉なんかが、頭の中からずっと離れないのよ。なんとかしようとしてるし、もっと冷静になって、注意散漫にならずに済むようにしようと思うけど、難しいわ。物事にやたらとこだわってしまう、執着する傾向に関係してるんだ思う。

あなたにとっての最高の1日は?

最高の1日は、私が目を覚まして、ジョエルはまだゆっくり寝ていていいんだと認めることから始まる。私ってひどい人間だから、自分が起きたら、彼も起こさないと気がすまないのよ。自分でお茶を淹れて、彼は寝かせてあげる。取り乱したりせずに、彼が死んでるなんてことも考えない。以前、そういうことがあったから。彼が目覚めたら、一緒に音楽を作って、それから長い散歩に出かける。歩くのは好き。最高の1日だったら、誰も写真を撮ってくれと私たちを呼び止めたりしないはず。彼はいつも写真を撮ってあげていて、それが私は嫌なのよね。私はすごく時間が気になる方だから、できるだけ忍耐強く、人に合わせようと思うんだけど、でも何時になったらご飯を食べに行くのか正確に把握していたいの。ドレスアップして、お腹いっぱいご飯を食べに行く。次々とコース料理が出てくるようなレストランで。私はお寿司が好きで、彼はロブスターが好物よ。それから夜の散歩に出かけて、ロンドン中心部を走って回る。これはたまにふたりでやるんだけど、そうじゃなければ、彼は走ってどこかに行くわ。

仕事をしていないときは、何をするのが楽しみ?

仕事をしていないときってどういうこと? 私はいつも仕事してるわよ。[笑] 仕事してないときは、寝てるわ。

Nazanin Shahnavazはロンドン出身のファッション スタイリスト兼ジャーナリスト。『032c』、『Dazed & Confused』、『Vogue Italia』、『i-D』、『TANK』、『VICE』、『Globe and Mail』等に執筆している

  • インタビュー: Nazanin Shahnavaz
  • 写真: Sylvia Austin
  • スタイリング: Nazanin Shahnavaz
  • セット デザイン: Mat Cullen
  • ヘア: Erol Karadag
  • メイクアップ: Carol Lopez Reid
  • ネイリスト: Melanie Shengaris
  • 写真アシスタント: Ian Hoogenboom、Taylor Dorrell