サム・ミュラーと巡る思い出のロサンゼルス

スケーターからフォトグラファーへ転身したサム・ミュラーが捉えた懐かしの場所

    サム・ミュラー(Sam Muller)にとって、道路を走る車の数と同じくらい無数の叶わぬ夢で溢れる街、ロサンゼルスで育ったことは何の驚きもないありふれたことだった。「この街にいて、場違いだと思ったことはない」とカリフォルニアを拠点に活動するフォトグラファーは言う。青春時代はこの街でスケートボードをして過ごし、すぐそばのハリウッドの娯楽の数々に魅力を感じることはなかった。

    むしろ、人とカルチャーの独創的な融合に心惹かれた彼は、ロサンゼルスのまっただ中にありながら様々に異なる各地域を、隅々まで探索した。警察や、近隣住民、警備員の厳しい目に絶え間なく晒されながらも、彼は地元を隈なく散策することをやめなかった。当然、そこで得たものは大きい。彼のこの街に対する見方は楽観的だ。キオスクや、彼が腕にタトゥとしても彫ったベンチといった、思いもよらない場所でさえ、彼は家のように感じている。8つのお気に入りスポットをカメラに収めつつ、ミュラーがSSENSEをロサンゼルスのフォトツアーへと誘う。


    ロケーション 1:ちょっと一息

    「考えるためのベンチ」、ハリウッド ヒルズ

    「僕が育った地域にあるこのベンチは、僕がちょっと制作に煮詰まったときに座るんだ。この地域は1920年代に開発されていて、ハリウッドの最高の景色が見られる」


    ロケーション 2:ピックアップゲームで遊ぶ

    Hazard Park、ノーフォーク ストリート2230番地


    ロケーション 3:馴染みの店で味も抜群な軽食

    Kismet、ハリウッド ブールヴァード4648番地


    ロケーション 4:スケートボード用品の買い物

    Kingswell、キングスウェル アベニュー 4651番地


    ロケーション 5:最新情報をキャッチ

    Centerfold International News、ノース フェアフォックス アベニュー 716番地

    「雑誌を買うときはいつもここ。今も残っている中では最高のキオスクのひとつ」


    ロケーション 6:展示をじっくり鑑賞、そして「作品収納スペース」に身を潜める

    Fahey/Klein Gallery、ラ・ブレア アベニュー148番地


    ロケーション 7:母を訪ねて

    ロサンゼルス カウンティ美術館(LACMA)、ウィルシャー ブールヴァード 5905番地

    「子どもの頃は、いつもここのギャラリーやオフィスにいたんだ。僕の母は30年以上、この美術館のキュレーターをしていたから、第二の家のように思っているよ」


    ロケーション 8:柵を飛び越え、夕陽を背にスケートボード

    ガードナー ストリート小学校、ホーソン アベニュー 7450番地

    「マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)が11歳の頃に通っていた小学校。長きにわたって数々のスケートボードにビデオに登場してきた。ここは、土日に滑りに行けばいつでもたくさんの友達に会える、ロサンゼルスでは数少ないスケートボードスポットのひとつ」

    • 写真: Sam Muller