シュルレアルの庭園「ラスポサス」

「多くの人々は、いちどもシュルレアリスムの運動について聞いたことなどなくとも、シュルレアリストだ」。エドワード・ジェームズ(Edward James)は、彼の人生を取り上げた1978年制作のドキュメンタリーの中でこう語る。彼の作ったシュルレアリストの楽園「ラスポサス」は、海抜約600メートルのメキシコの山の中にある。コンクリートの塔が立ち並び、その天蓋からは螺旋階段が、蘭のつるのように絡まりながら延びている。英国貴族で詩人のジェームズは、たゆまぬ精神で、素晴らしくて奇妙なものを探し求め続けた。彼は、友人のサルバドール・ダリ(Salvador Dali)をはじめ、世界でも最大規模のシュルレアリズムの作品の個人コレクションを収集し、1920年から30年にかけてのシュルレアリストの美術運動において重要な役割を担った。SSENSEのため、映像作家で写真家のマックス・ルス(Max Luz)と、キャスティング ディレクター兼モデルのマリア・オサド(Maria Osado)がラスポサスへ旅し、シュルレアルの世界にどっぷりと浸かり、無限の世界に触れる。ドキュメンタリーの中でジェームズは続ける。「私がシュルレアリストだとすれば、それは私が運動に関わるようになったからではない。私がシュルレアリストとして生まれたからだ」