温泉都市に迷い込んで

写真家マキシム・バレステロス（Maxime Ballesteros）によるSSENSEの最新エディトリアル。今回、バレステロスはブダペストを訪れ、ハンガリーの冬の世界で、リラ(Lilla)とドーラ(Dóra)姉妹とスタイリストのビアンカ・ベレーニ(Bianca Berenyi)を撮った。首都へ向かう道中、一行はボコド湖に浮かぶ高床式の漁師の住居群を見に立ち寄る。この湖は近隣の発電所の冷却用池として使われているため、凍結することがない。そこから、チャークバールの街に、ビアンカの隣人を訪れる。彼らは墓地の反対側で、自家製のワインを作りながら静かに暮らしている。この場所は不気味だが、美しい。古風でありながら、活気がある。ブダペストに到着すると、ヨーロッパ最大の温泉があり歴史的建造物でも知られるセーチェーニ温泉でくつろぐ。1913年頃に建造された豪華なネオバロック様式の建造物が温泉を覆うようにそびえ立つ。この街の魅力の大部分は、この時代錯誤な建築に由来する。年配の男性が集まって、プールの中でチェスをしている。ギャラリーにリラとドーラを迎えて気をよくし、勝負にも熱が入る。ロマンチックなヴァイダフニャド城では、ビアンカが古代彫刻に息吹を吹き込む。そしてサシャルミ市場へ行く道すがら、一行は渋滞につかまる。この街は美しく、陽気な雰囲気がある。にもかかわらず、混雑した酒場でさえ、驚くほどに静かだ。バレステロスは今回のブダペスト編で、Stella McCartneyに身を包んでのグーラッシュの夕食や、Gucciで泥の中を転がり回る姿を撮影する。