心と体の
ウェルネス

レイチェルとジャスティンが実践するマルチメディアな健康増進術

  • 文: Rachel Day、Justin Sloane
  • アートワーク: Justin Sloane、Rachel Day

このところ健康にまつわるアドバイスが巷に溢れている。もはや出尽くした気もするし、聞くだけでウンザリな気もする。完璧な人間なんかいないし、自分でもいいとわかっていることを続けられる人間だっていやしない。それでもなお、料理レシピやお薦めの本を教え合ったり、新しい視線で家の中から戸外を眺めたりすることは、心安らぐ慰めだ。

そこで、ロサンゼルス在住の友人、レイチェル・デイ(Rachel Day)ジャスティン・スローン(Justin Sloaneが実践していることを教えてもらった。どれも楽しさが一番、成果は二の次。中国医学を勉強中のレイチェルは、修士課程へ進んで、鍼療法と植物療法を研究するつもりだ。ジャスティンはデザイン、アート、独立系の出版を手掛け、新しい形態の言語と世界作りを追究している。ふたりの実践は、現在のめまぐるしい思考のスピードを落とすにはちょうど良いかもしれない。今まで知らなかったことを知るだけでもいいではないか。お粥を作ったり、新しい曲を聴いたり、詩を味わったり、子犬のポスターで和んだり(これに関しては、また後ほど!)

では、マルチメディアを駆使したふたりのリラックス術を紹介しよう。

レイチェル、ジャスティン、ありがとう。

ミシェル・バーンスタイン(Michèle Bernstein)著、ジョン・ケルシー(John Kelsey)序文『All the Kings Horse』Semiotext(e)出版(2008年)

中国や東アジアの医学では、温かい食べ物を理想とする。胃は体の中心にある温かい釜のようなもの、と見なされるからだ。

消化の炎を力強く燃やすには、温かくて栄養のあるものを食べなくてはならない。冷たい食べ物は消化系の働きを低下させるし、水分の多い食べ物は消化不良の原因にもなりうる。例えばサラダ、スムージー、乳製品や脂っこい揚げ物の過剰摂取は要注意。その点、お粥は1日のスタートを切るのに最適だ。体の内側に温かい火を点して、1日を乗り切るために必要なエネルギーを与えてくれる。

朝食に良い食べ物:米、小麦のクリーム、調理した押しオート麦、味噌/わかめ汁。お茶。

昼食に良い食べ物:米またはその他の穀類(冬はソバ、夏は大麦)。野菜(調理法は問わない)。豆類(小豆、ひよこ豆、レンティル豆、黒豆)。全粒パン。味噌汁。

夕食に良い食べ物:麵または米。野菜と海草。魚(オプション)。お茶。

気功の演習はさまざまな点で体に良いそうだ

イギリスの鍼師ピーター・デッドマン(Peter Deadman)が動画で紹介するエクササイズは、家でもできるから、試してみてはどうだろうか。

動き その1:肺の下部まで呼吸する。そのためには、先ず腹部まで空気を送り込むつもりで、ゆっくりと呼吸する。5秒で吸い込み、5秒で吐き出す。胸は反らせず自然な状態。両手は腹部の前方、または拳にして背中の中央に当てる。体の重心を下げて、呼吸を下方へ導く。

動き その2:腕を腿の前方へ伸ばす。脊柱の根元にある仙骨から骨盤を落とし、体の重心を下げて、呼吸を下方へ導く。脊柱の力を抜く。次に両腕を肩の高さまで上げ、手のひらを向かい合わせにした状態で外側へ広げる。背中の上部を広げるために、腕は常に体の前方に保ち、後方へ引っ張らないこと。動きの全体を通じて、背骨を上下に伸ばす感じ。胸と背中の上部を広げることで、肺が最大の容量まで広がる。

動き その3:特に背中の上部を広げ、鍼療法で肺を広げる際の経穴(ツボ)を刺激する。肩の力を抜き、肩甲骨を下方へ下ろす。手のひらを広げ、両腕を上方へ伸ばす動きで、肺の経路が伸び広がる。

アミリ・バラカ(Amiri Baraka)詩集『Selected Plays and Prose of Amiri Baraka/LeRoi Jones』William Morrow and Co.出版(1980年)

私たちが住んでいる通りは、歩道がジャカランダの花に埋もれて、春たけなわ。去年は、ルイス・バラガン(Luis Barragan)の「エモーショナルな建築」を象徴するヒラルディ邸を訪れた。中庭に面する壁面全体が、独特なラベンダー色に塗られていた。ガイドによると、その色は、中庭に枝を広げたジャカランダの樹から散り落ちる花に合わせて選ばれたという。そんな細部に大きな表現が与えられているのが、とても印象的だった。1年に1度春に戻ってくる色は、待つ価値がある。

さしあたって今は、こんなところ。

ヴァーノン・ハワード『Esoteric Encyclopedia of Eternal Knowledge』Scarborough House出版(1974年)

キメ技は、ハッピーになれることをやること! 例えば、犬の写真で時が経つのを忘れる!

Rachel Dayは中国医学を勉強中。修士課程で鍼療法と植物療法を研究する予定。以前は、アートに携わり、ニューヨークの書店に勤務していた

Justin Sloaneは、デザイナー、アーティスト、独立系出版者。MoMA PS1、Ghostly International、Total Luxury Spa、2x4 incとコラボレーションの経歴がある

  • 文: Rachel Day、Justin Sloane
  • アートワーク: Justin Sloane、Rachel Day
  • 翻訳: Yoriko Inoue
  • Date: May 15, 2020