2020秋冬 食の
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レシピ大公開
6人のデザイナーが伝授する、寒い夜に心と体を温めるお洒落な料理
- アートワーク: Robert Beatty

ピリッと肌寒い朝、そして長い夜。秋だ。でも今年は、豊かな喜びを感じるいつもの秋とは感覚が違う。ステイ ホームの状況が続く中で、レイヤードの季節がやって来る。いや、むしろレイヤードには新しい目的が増えたと言えるだろう。寒い外でも時間を過ごせるために、できるだけ親しい人たちとの関係を保つために。なんとも切ない秋だ。そんなわけで、今回はステイ ホームにぴったりの「癒し」を探してみたい。
家でセルフケアに努め穏やかに過ごそうとしている私たちに、最適なウェアを提供してくれるのはピーター・ドゥ(Peter Do)やキコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)が発掘した双子のデザイナー、ローラ & ディアナ・ファニング(Laura and Deanna) Fanningだ。ジャストフィットのニットやテクノカラーのスニーカーは、退屈な空気を打破してくれる。今回、ピーター・ドゥやローラ & ディアナ・ファニングをはじめとするデザイナーに、体を温めるだけでなく、体を満足させてくれるものを聞いてみた。新しいレシピを試すときほど、キッチンに行くのが楽しみなことはない。というわけで、6人のデザイナーのとっておきレシピを、ロバート・ビーティ(Robert Beatty)のアートワークでご紹介。材料を加えるごとに愛のレイヤードを追加して、今年の秋を乗り切ろう。

ピーター・ドゥのホームメイド チリ オイル
1〜2 瓶(500〜1000ml)分
調理時間:20分
材料
キャノーラ油またはサラダ油またはピーナッツ油 1〜2カップ
ニンニク 1片
生姜 小1片
エシャロット 3〜5コ(または赤タマネギ 小1コ)
八角(ホール) 5コ
シナモン スティック 5本
タイ焙煎唐辛子 大さじ4(量はお好みで調節)
干しエビ ¼ カップ(ベジタリアン バージョンには省いても可)
花椒(粉末タイプ) 大さじ3
白胡椒 大さじ1
パーム シュガーまたはブラウン シュガー 小さじ1
作り方
小さめの鍋に油、花椒、みじん切りした生姜、八角、シナモン スティック、刻んだニンニク、細切りしたエシャロット、水に浸して戻しみじん切りした干しエビを入れ、よい香りが立つまでごく弱火で熱する。ニンニクがうっすらとキツネ色に変わるまで注意しながらじっくりと約15分。
火から下ろし、残りの材料を加えて冷ます。冷める過程でニンニクとエシャロットはカリカリになってくる。
ガラス瓶に移す。3〜4週間は保存が可能。冷蔵庫に入れればより長く楽しむことができる。
どんな料理にもかけて、ご賞味あれ!

マーティン・アリ(Martine Ali)のジャーク ケールと卵のブレックファスト
材料
熟して痛みかけているくらいのプランテン 1本
ケール 1束
白タマネギ ½コ
おろしニンニク 大さじ1
卵 1コ
オリーブ オイル
ジャーク シーズニング
ヒマラヤ岩塩
砕いたブラック ペッパー
お好みの辛味調味料(個人的にはチョルーラ ホットソース オリジナルがおすすめ)
作り方
傷みかけの甘いプランテンを用意。プランテンは熟しているほど甘いので、「熟しすぎ」くらいがベスト。プランテンの両ヘタを切り落とし、縦に切り込みを入れ、手で皮を剥ぐ。プランテンを厚さ約5ミリで斜め切り。大きなフライパンを強火にかける。フライパンの底全体が油でコーティングされる程度に、オリーブオイルをたっぷりと入れる。油は多いほうがプランテンがよく揚がるので、ここで余分なオリーブオイルを拭きとったりしなくてOK。スライスしたプランテンをフライパンに並べて揚げる。端から色が付きはじめ、ジュージューと音を立てはじめる。この時、油がはねやすいのでヤケドに注意。プランテンの色が変わってきたらフォークで裏返し、両面を炒める。できあがるまで 5 分もかからないので、目を離さないこと。火を止める。まな板にキッチン ペーパーを2〜3重に重ねて敷き、その上に揚ったプランテンを移す。さらに上からキッチン ペーパーをかぶせ、軽く押さえて余分な油を吸わせる。
おすすめのシーズニングは、グレース社のカリビアン トラディション ジャーク シーズニング(Grace Caribbean Traditions Jerk Seasoning)。お近くの店で入手できなければ、ジャマイカ系のスーパーかAmazonで購入できるはず。とにかく「ジャーク」風味のドライ シーズニングであれば大丈夫。まずはタマネギの両端を切り落とし、半分にカットし、半分だけを薄切りにする。プランテンを揚げたオリーブ オイルが残っているフライパンを中火で熱し、タマネギを入れる。おろしニンニク大さじ1も加え、中火でしばらく炒める。再度、ヤケドに要注意! タマネギとニンニクを混ぜながら炒め、キツネ色になったらケールを加える。ケールは手でちぎり、揉むようにしてさらに小さくし、タマネギとニンニクの上に重ねるようにして投入。その上から、フライパン全体にまんべんなくジャーク シーズニングをふりかける。のちほど塩で味を調節できるので、この段階では全体に薄くふりかければ十分。そもそも強めのフレーバーなので、かけすぎないのがコツ。スパチュラか大きめの木のスプーンで、一番下のタマネギと一番上のケールがひっくり返るように混ぜる。よく混ざったら、ときどきかき混ぜながら5分ほど炒める。火から下ろし、プランテンと一緒に冷ます。
W目玉焼きはみんな作ったことがあると思うけど、もし作ったことがなければ、今がその時。フライパンにオリーブ オイルを引き、中火で熱する。フライパンの縁で卵を割り、フライパンの中央に落とす。お好みの固さになるまで火を通す。個人的には、両面を焼き、黄身がまだ若干ゆるい程度にするのが好み。塩胡椒を振る。
召し上がれ!

ローラ & ディアナ・ファニングのピンクのパブロバ
パブロバは、オーストラリアで昔から親しまれているケーキ。誕生日やクリスマスだけじゃなくて、家族が集まる機会にはほぼ必ず登場するスイーツよ。確かに美味しいんだけど、いつも同じだと飽きるので、ぽってりとかわいらしいルックスにしてみたの。植物由来の食紅で、カラーはうっすらピンク。ほのかにローズ ウォーターが香るメレンゲ。最後にバラの花びらを散らしてね。
材料
卵白 卵4コ分
上白糖 220グラム
コーンフラワー 大さじ1
レモン汁 小さじ1
ローズ ウォーター 小さじ1
生クリーム 300ml
アイシング シュガー 大さじ1
植物由来のピンクの食紅
イチゴ 適量
バラの花びら 適量
作り方
オーブンのファンを回した状態なら100°C、ファンなしなら120°Cで予熱する。オーブン トレイに油を塗り、クッキング シートを敷く。クッキング シートに直径18cmの円を描いておく。小さいボールに卵白を入れ、電気ミキサーでふんわりとツノが立つまで泡立て、メレンゲを作る。小さじで少しずつ上白糖を加え、砂糖が完全に溶けるまで泡だてる。コーンフラワーとレモン汁も加えて混ぜる。ボールの内側で飛び散ったメレンゲをスパチュラでこそげ、きれいにまとめる。ローズ ウォーターを加え、低速の電気ミキサーで30秒混ぜる。クッキングシートに描いた円の中にメレンゲを落とし伸ばす。上面をスパチュラで平らにする。メレンゲが固まるまで、約75分オーブンで焼く。火を止め、オーブンから出さず、オーブンの扉を半開きにした状態で冷ます。小さなボールに生クリームを入れ、ふんわりとツノが立つまで泡立てる。アイシング シュガーとピンクの食紅を加え、ツノがピンと立つまでさらにホイップする。余熱の取れたメレンゲの上にピンクの生クリーム、イチゴ、バラの花びらを添えてできあがり。
コツ
途中でオーブンを開けたくなっても決して開けないこと! 焼き上がったメレンゲをオーブンから出さず、扉をほんの少しだけ開けた状態でクール ダウンさせるのが成功のカギ。

ゾーイ・ラッタ(Zoe Latta)のマッツァー ボール スープ
材料と作り方:スープ
セイヨウネギに花椒塩、マッシュルーム パウダー、ニンニクを加え、キツネ色になるまでバターで炒める。
ニンジンとパースニップを加え、やわらかくなるまで約7分弱火で炒める。
濾した透明の野菜だしを加える。
弱火で煮る。
材料と作り方:マッツァー ボール
卵5コに対し、マッツァー ミール粉1カップ
溶かしバター ¼カップ(ベジタリアンでなければ、シュマルツでも可)
炭酸水 大さじ3
塩 小さじ1
ガーリック パウダーとブラック ペッパー各少々
パセリのみじん切り ½カップ
すべての材料を合わせ、マッツァー 生地を作る。濡れた砂のように見えるが、あとでもっとまとまってくる。2時間以上冷蔵庫で寝かせる。
大きめの鍋に水を満たし、塩を入れて沸騰させる。
濡れた手でマッツァー生地をボール状に丸め、ゴルフ ボールとテニス ボールの中間くらいの大きさに整え、沸騰した塩水にそっと浮かべる。火を弱め、25分加熱する。火が通るとボールは沈み始める。
沈んだマッツァー ボールを穴じゃくしですくい上げ、スープ皿に移したら、その上からスープをかける。スープの表面からマッツァー ボールの顔が出るよう、スープを入れすぎないのがコツ。
パセリのみじん切りと胡椒を振りかける。
完成!

ウェカフォレ・ジブリル(Wekaforé Jibril)のフライド プランテン
昔、物知りの男にプランテンには101通りの食べ方があると教えられて以来、僕はその101通りを制覇することに燃えてるんだ。近い将来、プランテンはきっと世界を征服するはずだ。今回、紹介するのは、完璧なフライド プランテン。スペイン語ではプラタノ フリート、僕の出身地のラゴスではドードーと呼ばれる料理だよ。
材料と作り方
器用な手
プランテン(できれば、黄色っぽくて黒い斑点がある完熟したもの)
ピーナッツ オイル 500mlもあれば十分
フライパン(深いほうがいい)
食卓塩

エマ・チョポヴァ(Emma Chopova) & ローラ・ロウェナ(Laura Lowena)のバニツァ
ご紹介するのはブルガリアのペストリー「バニツァ」。母に教わったレシピよ。ローラも私も、ブルガリアへ行ったときには必ず食べるわ。
材料
フィロ シート 450g
フェタ チーズ 400g
卵 4コ
ひまわり油 1/2カップ
ヨーグルト 1カップ
重曹 小さじ1
バター 75g
作り方
オーブンを220℃に予熱する。
中くらいのサイズのボールにフェタ チーズをほぐしながら入れ、卵とひまわり油を加える。
ヨーグルトに重曹を入れると泡が立ってくるので、すばやくかき混ぜながら2に加えて、チーズ ミックスを作る。
十分に油を引いた大きなオーブン トレイにフィロ シートとチーズ ミックスを重ねていく。フィロ シートは1レイヤーに2〜3シートで、平らではなく、必ずシワを寄せること! トレイのサイズにより3〜5レイヤーの完成。一番上にチーズ ミックス約1カップ分を載せ、最後に、焼きあがりが黄金色になるように小さく切ったバターを散らす。
220℃のオーブンで35〜40分焼く。半分くらい時間が経った頃に、クッキング ペーパーをかぶせて焦げを防ぐ。
- アートワーク: Robert Beatty
- 翻訳: Yuko Kojima
- Date: September 30, 2020