人形たちの
不気味の谷

サラ・スウィナーによる「開封の儀」

  • アートワーク: Sara Cwynar

この記事は、年2回刊行のSSENSEマガジン第3号に掲載されています。

アーティストのサラ・スウィナー(Sara Cwynar)が、非統一とも呼べるスタイルを追究した。スウィナーはファッション モデルではないが、オンライン ショッピングに詳しい人なら、どこぞのサイトで見かけたのと同じポーズをとっていることに気づくかもしれない。スウィナーは人形ではないが、今シーズンはトレンド、来シーズンにはトレンド外れのファッションに身を包んでいる。アーティストとして、スウィナーにはミューズを自称するにふさわしい深みがあり、ミューズとして、スウィナーはページ上でフラットな存在になる。要はパッケージの問題。肖像写真で大事なのは外側なのだ。

まるで、サングラスをかけて絵葉書になったモナリザを見ているような気分だ。ページという額縁に囲まれたキャンバスに平然と立つ女性を見ていると、知りたくなる。この人は一体何を考えているのだろう? すべてを見せながらすべてを隠蔽するには、どうすればいいか、彼女が考えているのはその方法だ。

画像のアイテム:クラッチ(Bottega Veneta)

  • アートワーク: Sara Cwynar
  • 翻訳: Yoriko Inoue
  • Date: September 29, 2020