イパネマ海岸の泡立つ水面のように
写真家マルセロ・ゴメスがブルックリン経由でリオへ飛ぶ

ビーチは人を困惑させる。なぜならビーチとは、魔法のように一時的に、正反対のものがひとつになる場所だからだ。大地と水と空。境界のきわに立っていても、唯一、落ち着いていられる場所。あるいは、世界との近さの深く感じ取れる場所だ。可能なかぎり離れた場所、遥か遠くを眺めていると、波打際の泡が足に触れる。自分がどこにいるのか分からなくなるあの感覚は、まさに夢心地だ。
さっきまで眠っていたものが目を覚まし、突き進んでくるように、波が砕ける。筋書きはなく、ただ循環している。波が足に当たって砕け散るとき、ほんの一瞬、体が水に引きずり込まれるような感じがする。そんな、身体と水の間に漂う、言葉では伝わらない信頼関係。何もかもがループする。
この海岸で二つ三つ人生を生きたとしても、何も変わっていない錯覚に陥るだろう。だが、同時に、どこかで中断された気がするという奇妙な感覚を覚えるに違いない。砂は何日間も靴に残ったままだ。高名なブラジル人作家、クラリッセ・リスペクトール(Clarice Lispector)が『Água Viva』で書いたように、 「私はあえてメロディーに反している。音の耳障りに対立する音の難解なハーモニーを楽しんでいるのだ。私はどこに行くのか? 答えはこうだ。私は行く」
今回、ブルックリンとリオの2都市にまたがったSSENSE エディトリアルのため、フォトグラファーのマルセロ・ゴメス(Marcelo Gomes)が、エイリアンの赤色や明るいオーラを思わせるピンクを帯びた、おぼろげで捉えどころのない一連の動きをカメラに収める。それはあたかも、イパネマ海岸に見られる、対立し合う様々な色彩を予期するかのようだ。穏やかな青緑、苔、ゴツゴツした岩々、霞がかった三角洲、泡立ちながら引いては押し寄せる波。完璧に食い違ったふたつの場所。それが、勢いよくメロディーに反した音を立てている。

モデル着用アイテム:スイムウェア(Solid & Striped) 冒頭の画像 モデル着用アイテム:スイムウェア(Solid & Striped)

モデル着用アイテム:スイムウェア(Maryam Nassir Zadeh)

モデル着用アイテム:スイムウェア(Valentino)、ショート ドレス(Chika Kisada)

モデル着用アイテム:スイムウェア(Solid & Striped)


モデル着用アイテム:スイムウェア(Acne Studios)

モデル着用アイテム:タートルネック(Calvin Klein 205W39NYC)、スイムウェア(Gucci)


モデル着用アイテム:スイムウェア(Gucci)



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モデル着用アイテム:スイムウェア(Maryam Nassir Zadeh)


モデル着用アイテム:タートルネック(Calvin Klein 205W39NYC)、スイムウェア(Gucci)
- 写真: Marcelo Gomes
- スタイリング: Natasha Devereux
- モデル: Alexandra Marzella、Carolina Fabbriani