『オーシャンズ8』をGucci、Off-White、Loeweで大予想
映画公開を記念してオシャレな組み合わせを考える
- 文: SSENSEエディトリアルチーム

映画『オーシャンズ11』のオープニング シーンで、疲れた顔に無精髭のジョージ・クルーニー(George Clooney)の演じるダニー・オーシャンは、仮釈放委員会を説得するために話題をうまくすり替え、彼が犯罪を犯して刑務所に入った原因は、その犯罪が何であれ、妻が彼を残して去ったせいだと話す。自分は動揺していたのだ、と。仮釈放が認められた後に続くのは、豪華で、有名俳優が勢ぞろいした強盗映画である。そこにはセレブリティのカメオ出演に、小気味いい会話、現金、そして数々の男たちが満載だ。そして17年。舞台設定は前回と同じだが、今回の主役はサンドラ・ブロック(Sandra Bullock)演じるダニーの妹、デビーである。デビーは別れを嘆いて他人を非難することもなく、刑務所での時間「5年8ヶ月12日」を有効活用し、次の強盗計画の手順を考えていた。
遅まきながらも全員女性の強力な新メンバーの6人がデビーにより厳選され、メトロポリタン美術館とおぼしき場所で宝石強盗を画策する。また噂では、かなり多くのセレブリティがカメオ出演するようだ。ここまでがすでに明らかになっているあらすじだ。だが色々と疑問は残る。8番目は誰なのか。アン・ハサウェイ(Anne Hathaway)の名前が入っているのはそのためか? トレーラーの冒頭でデビーがマルティーニを飲んでいるのは、ダニー・オーシャンの墓なのか。アン・ハサウェイは何をするのか。もっとリアーナ見たいんだけど! そんな中、SSENSE エディトリアル チームが、各登場人物にぴったりのアイテムを当サイトから見つけ出し、はるか以前の予告から待ちに待った、今日封切りとなる『オーシャンズ8』の内容を予測してみた。

画像のアイテム:ブラウス(Gucci)、スカート(Gucci)
ルー & デビー / いわゆる「ジョージ・クルーニー & ブラッド・ピット」的な役回り
ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)の演じるルーとデビーが、どれほど親しい関係にあるのかは、気になるところだ。ブラッド・ピット(Brad Pitt)の演じるラスティが、トファー・グレイス(Topher Grace)にポーカーを教えながら、刑務所を出たばかりのダニーにこれまでの状況説明をしていたような、経歴に関するエピソードがふんだんに盛り込まれるのかどうかは不明だ。だが、何らかのふたりの歴史があるに違いない。トレーラーから垣間見るに、ルーとデビーは任務全体におけるシャツとパンツ、というかシャツとスカートのような役回りのようだ。つまり、服装におけるしっかりとした基盤である。経験が豊富で、どのアクセサリーを採用すべきか、どのタイプのシューズが適切かを心得ている。ルーはいかにも引退したロックスターといった見た目であるのに対して、デビーは前科者だ。「すご腕の女傑」2人がチームを率いるのでなければ、映画の筋書きとして十分に信頼できるものにならないのだろう。いずれにしろ、スカートなしのシャツなど使いものにならず、そのいずれが欠けても服装としては成り立たないように、根本的に、ルーとデビーが強盗の指揮を執るにふさわしいコンビであることは疑いない。

画像のアイテム:ネックレス(Ambush)
アミータ / 宝石職人
ダイアモンドが本物かどうかを簡単に見分けるには、熱伝導性のテストをすればいい。石に息を吐きかけて、 曇りがすぐに消えるかどうかを見るのだ。数秒以上、曇りが残るなら、目の前にある石は偽物の可能性が高い。もしかすると、ミンディ・カリング(Mindy Kaling)の演じる宝石のプロ、アミータはこのテクニックを使って、映画の目玉である宝石強盗の間、本当の宝石と交換する際に手違いが起こらないようにする役どころなのかもしれない。あるいはカリングは、現実世界の今年のメットガラのための頭飾りを選んだ際、このテクニックを試してみたかもしれない。例の、巨大な絵文字のように彼女の頭に乗っかった、あの目の眩むような黄金の王冠だ。彼女はきっと自分の装飾に関して、「大きければ、大きいほど良し」というメッセージを発信していた。はっきり言おう。宝石に関しては、2018年の今日、偽物の方がカッコいいのである。

画像のアイテム:ピアス(Loewe)
コンスタンス / スリの達人
「人の目を欺くような曖昧な行動、または策略。特に政治的なものを指す」というのが、「シェルゲーム」で検索したときにGoogleで2番目に出てくる定義だ。そして、『オーシャンズ8』のネタバレサイトや主要キャラクターに関するGoogle検索の結果についていえば、インチキ賭博のシェルゲームの定義は適切だ。あらすじはそれ自体で巨大なシェルゲームのようなもので、登場人物らのキャラクターはそれに一役買っている。特にコンスタンスなどは。オークワフィナ(Awkwafina)演じるコンスタンスは路上のスリの達人で、彼女は博打で稼ぎ、ペテンの技術で生計を立てている。彼女がどのようにスリを行うのかはよくわからないが、彼女のダボっとしたビーニーハットの中に手がかりが隠されているのかもしれない。わかっているのは、手品師のような早業を使い、デビーとルーの御眼鏡にかなって強盗計画にリクルートされるほどの、相当のトリックやイリュージョンの達人であるということだ。その騙しやごまかしのテクニックがそこからどこへ向かうのか、どの範囲にまで及ぶかは、今日の映画の公開で明らかになるだろう。

画像のアイテム:ヒール(Comme des Garçons)
ローズ / ファッション デザイナー
ヘレナ・ボナム=カーターはファション デザイナーの役だ。だが、誰もがわかっていることだが、彼女は彼女自身を演じている。彼女のシグネチャでもあるビクトリア朝の雰囲気で、ティム・バートンのミューズで、ぬいぐるみのおばあちゃんのようなルックス。どんな役であっても、彼女はいつでも自分のスタイルを役に吹き込んでしまう。黒の重ね着、ボリューム感、ブルマー、くるくると広がるカールした髪、雑誌、ブリジット・ジョーンズ シリーズのような倦怠感を兼ね備えた『FRUiTS』風のゴスロリだ。彼女は、誕生日会で顔にペイントをした道化役である。ただし、彼女はガリアーノを着ているのだが。あるいはComme des Garçonsを着たメリー・ポピンズとも言える。呼び方はともかく、それが彼女の体現するスタイルだ。あまりに完全かつ徹底的に体現されているため、それがどの役にもついて回っているのだ。ではローズは何を着ているのか。ローズが着ているのは、ヘレナ・ボナム=カーターである。

画像のアイテム:iPhoneケース(Palm Angels)
ナイン・ボール / ハッカー
彼女はナインボールなのか、はたまたエイトボールなのか。映画を実際に見てみないことにはわからないが、パパラッチの写真を見ると、リアーナの『オーシャンズ8』における役柄でひとつわかっているのは、彼女のバルバドス人ハッカーの服が最大限までステレオタイプ化されたものだということだ。ボブ・マーリー、大麻、ピース、ラブ、タイダイ。テレビや映画で見るカリブ海出身のキャラクターは、長い間、こうしたステレオタイプを押し付けられ、皆が同じように奇妙で不自然に訛っていた。ファッションも同じだ。赤と緑とゴールド、ユダのライオン、そして大麻の葉っぱ。これらのシンボルから宗教的な深い意味合いは消え、実際のラスタファリ運動の実践者よりも、麻薬を吸ってパーティー三昧の人を象徴するスタイルとなった。一方、リアーナは現にバルバドス人であることから、ステレオタイプの服はさておき、キャラクター自体はそれだけですでに新鮮な息吹を吹き込むものとなっている。

画像のアイテム:ヘアクリップ(Simone Rocha)
タミー / 盗品ディーラー
髪の毛をきちんとセットするため、思い通りの状態をキープし、「すっきり」あるいは「きちんと」した見た目にするため、そして時に、あの「パチン!」という大きな音を聞いて満足感を得るため。その便利さにも関わらず、バレッタというのは、他の何よりも素っ気ないアクセサリーだ。単なる装飾品という以上に、バレッタは安心感を与えてくれる。このファッション性に通じるものには、モノグラムのウィークエンドバッグや、運転用の靴、昼間用のペタンコ靴、シルクのスカーフ、コットンのケーブルニット、Barbour、Bottega Veneta、ニードルポイントのベルト、マリン風の装飾などがある。サラ・ポールソン(Sarah Paulson)の演じる一流の盗品ディーラー、タミーにとって、バレッタは彼女の仕事に求められるものを象徴している。つまり、ビジネスの素質だけでなく、取引を秘密にしておく能力だ。盗品ディーラーとは、つまるところ、仲介業者なのである。盗品を動かすことで利益を上げることを任された人物。何が売れ、それを誰に売るべきかを心得ている人物だ。そして、多くの場合、そのビジネスは合法的に見える軒先、あるいは、普段は子どもの自転車やビーチ用のおもちゃなどを片付けている3台車が入るガレージなどで行われる。ここでは、合法的に見えること、または善良な市民のステレオタイプのように見えることが必須なのだ。ウェーブする金髪を斜め分けにして軽く止めたタミーは、真面目できちんとした人に見える。なぜなら、盗品ディーラーのタミーにとって、きちんとした姿こそが変装になるからだ。それは、彼女の生き方であり、内面の不安を隠すためのメカニズムだ。結局のところ、「郊外のオシャレなスタイル」など、最大のペテンなのである。

画像のアイテム:フーディ(Off-White)、ラウンジ パンツ(Off-White)
ダフネ・クルーガー / ターゲット
アン・ハサウェイは、映画『プリティ・プリンセス』以来ずっと、人にあれこれ言われる格好のターゲットだった。当時はまだ子どもだったが、それ以降、絶えず微笑んでいる殉教者のような役どころ専門という評判が定着している。もちろん、この映画でジュリー・アンドリュース(Julie Andrews)に女王役をやらせたのは勇気ある配役だったと思うが。そして『オーシャンズ8』で、彼女はまたもや格好のターゲット、ダフネ・クルーガーという宝石強盗の被害に合う新進女優を演じる。このあらすじはいったいどの程度メタなのだろうか。映画での彼女のキャラクターは、実は自分の身に何が起きるかをわかっているという公開前の噂は、うんざりしたヘイターにアンがリブランディングに苦心しているのではないかという希望を抱かせている。忌まわしい火に油を注ぐような優雅さで応じるのではなく、彼女がヒールターンを試み、嫌われハサウェイの道を一度くらい踏み外す姿が見られるとしたら、それはかなり楽しみだ。リアーナとの共演が、アン自身の『グッド・ガール・ゴーン・バッド』な瞬間をもたらすきっかけになり、彼女がついにはヘイターの目から逃れられることを祈ろう。
- 文: SSENSEエディトリアルチーム