冬のブームは大荒れの兆し
SSENSEのお天気お姉さん、エリカ・フウルの冬を乗り切るオシャレ予報
- 写真: Rebecca Storm
- 文: SSENSE エディトリアル チーム

みなさん、こんにちは。お待ちかね、SSENSEのお天気お姉さんこと、私エリカ・フウル(Erika Houle)が生中継でお届けする、季節を先取りした必ず使える天気予報の第二弾。日も短くなり、気温も下がって、北風が骨身にしみる今日この頃。来るべき冬から身を守る策が不可欠です。小雪が舞い、氷が地面を覆うようになると、しもやけや怪しく色づいた雪から身を守るには、私たちのアウトフィットに鎧となってもらうしかありません。どこに行くにも完全装備が必要なこの季節は、冬ごもりの魅力には抗いがたいものがあるとはいえ、諦めるのはまだ早い!私のトレンド予報士としての専門知識があれば、最高のオシャレ ビーストのように、自然の厳しさを乗り越える備えができること間違いなし。さあ、準備はいい?寒さに負けず、クールに行ってみよう!

Erika Houle 着用アイテム:ジャケット(Vetements)、カーディガン(Balenciaga)、ドレス(Off-White)、スニーカー(Nike)
ブランドの新ステージ
ロゴマニアはピークを超えて、その後の停滞期を過ぎ、急激に収束した。ただ、多くのトレンドと違い、ロゴマニアは再び回復しそうだ。そして現に回復している。これはおそらく、ハイ ブランドのデザインだからだろう。そして、「シミのように」染み付いたとしか言いようがない、人々の言葉に対する情熱を茶化しながら、ロゴマニアはひたすら生き続ける。どこもかしこも言葉だらけ!フォントが混在し、変な角度で並べられている。言葉が、服の袖にあしらわれていたり、スニーカーのタンに刻まれていたり、ホログラフやステッチになっていたり、刺繍やアップリケになっていたりする。そしてスローガンは消費者をマーケターに変え、所有する者とされる者の境界を曖昧にしていく。塊になった果物シールのように。蔓延するボディ パッチのように。Vetementsのレーシング ボンバー ジャケットのように。Balenciagaのあれこれのように。Off-Whiteが多用する、皮肉っぽく突き放したようなテキスト。あるいは、GucciやPradaがこれでもかと誇らしげに掲げ、律儀にもハトメにまで彫り込んだ、伝統のロゴのように。ロゴマニアが時代を物語っているのか、はたまた時代がロゴを求めているのか。

着用アイテム:シャツ(Vetements)、ジャケット(Napa x Martine Rose)、レギンス(Live the Process)、ソックス(Druthers)、ブーツ(Proenza Schouler)、帽子(Carhartt Work In Progress)、バッグ(Napa x Martine Rose)
ワイオミングからこんにちは
2000年代半ば、ヒップスターは木こりのような格好をしているとよく言われていたが、このトレンド自体はあえて再到来に値しない。とはいえ、「何もかもがもっとシンプル」だと思われていた時代に対するノスタルジーを、私たちがいまだに克服できていないのは明白だ。「ヒップスター」という言葉が支持されなくなって久しい一方で、この集団の代名詞とも言えるスタイルは、今なお生き続けている。Red WingsやFryeのブーツに代わって支持されるようになったのが、Off-Whiteのハイキング ブーツや、Salomonのブーツである。このブーツは、例えば今年6月に開催されたカニエ・ウェスト(Kanye West)のアルバム発売記念パーティーで、ワイオミングの草原をトレッキングしてまわるような場合にもってこいだ。Woolrichの名を冠した赤と黒のタータン チェックのボタンアップ シャツは、Vetementsの手が加わったことで、XLにサイズアップし、袖からはタッセルがぶら下がるスタイルになった。映画『ジム・キャリーはMr.ダマー』でアスペンにいるロイド・クリスマスを思い出してほしい。ポーラー フリースは、Patagonia からNapapijri by Martine Roseにいたるまで、すっかり定番となった。都会で暮らそうが郊外で暮らそうが、毎日のように田舎の別荘に向かうときに着るような「伝統の」スタイルは、今も健在だ。
ミスター・ロジャースの教え
すべてのヒーローがマントを着ているわけではない。フレッド・ロジャース(Fred Rogers)の場合も、変身後のコスチュームは、彼をさらに優れた人物に変えるだけだった。だが、ロジャースのシンプルで、気取らないファッション センスを、現代の「グランパ系」スタイルの系譜にカテゴライズすべきではないだろう。熟慮の上であのスタイルをチョイスしたのは、彼が最初なのだから。例えば、彼のアイコニックなキャンバス スニーカーは、人形を動かしたり、セットの間を移動したりする際に、できるだけ音を立てないよう意識して選ばれたものだった。また、あのクラシックな赤のケーブル編みニットのカーディガンなどは、どれもすべて彼の母親の手作りだった。ミスター・ロジャースが丁寧に説く「優しさの教え」が、世界中で切に必要とされているこの時代、そしてトム・ハンクス(Tom Hanks)がロジャースを演じることがわかり歓喜の声が上がる今、私たちは皆、ロジャースのスタイルを通して、彼の精神性に近づくことができるかもしれない。当然、彼の歌詞も良いきっかけとなるだろう。「君はどこでも大歓迎 / どんなオシャレ コンテストでも一等賞だ/ 心からの笑顔を浮かべ / それを皆にふりまいていれば」

着用アイテム:ベスト(Stone Island)、T シャツ(Ottolinger)、カーゴ パンツ(Stone Island)、ポーチ(Prada)、ポーチ(Balenciaga)、ポーチ(Rick Owens Drkshdw)
ポスト「お尻」時代へ
「お尻バッグ」という変な名前にも関わらず、ファニー パックは明らかに2018年を代表するバッグだった。だからこそ、今がこのバッグのことは忘れ去るときだ。季節が変われば、バッグも変わるのである。常に天気を予測することは不可能だとしても、その天気を耐え忍ぶにふさわしいバッグを予想してみることは、間違いなく可能だ。持ち物のほとんどは、すでに身につけているだろうから、大きめバッグをやめて、小さなポーチに持ち替えよう。長いストラップ付きで、シンプルなデザインで、鍵や貴重品を入れるには最適のウェアラブルなポケットである。これなら、ストラップの短いファニー パックのように、服とかぶったりもしない。もっと物を入れたい? なら、もっとポーチを持とう! ロゴを全体にあしらったエクスプローラー ポーチから、セキュリティ ポーチまで、これらが想定しているのは、ダウンだけですでにトラックの運転台並みに膨れ上がる季節に、どれほど積荷が少量かを見せつけることなのではないだろうか。

着用アイテム:ジャケット(Undercover)、タートルネック(Marine Serre)、パンツ(The North Face)、ブーツ(The North Face)、クラッチ(Nike)、グローブ(Rick Owens)
行列を制する装備のヒント
事前に入荷が話題になったアイテムがネット上で売り切れる速さといったら、光の速さの如しである。正確には、高速インターネットのスピードの如しと言うべきか。それに比べ、現実世界で入荷された商品のために行列に並ぶときの、あの遅々として進まない時間の流れときたら、理性的な時間感覚は歯が立たない。ここは、入荷の確率変動を組み込んだ上で、それに見合った服装で臨む必要がある。いつ何時でも、リアル時間からネット時間へとスピードをシフトする準備をしなければ。ファニー パックがあれば空気力学の観点からも役に立つだろうし、North Faceのムーン ブーツなら、急に行列がてんやわんやしても、しっかりと地に足をつけていられる。行列がなかなか進まないときのためには椅子を用意しておき、全天候向けのカバーオールでどんな状況にも対応できるようにしよう。Undercover × Space Odysseyの宇宙服風ダウン ジャケットがあれば、入荷商品に当たる確率に対する時間のゆがみ効果で、アイテムをゲットしやすくなるかもしれない。最後に、決して予備のバッテリーパックを忘れないこと。電池切れを防ぐための必須アイテムだ。
- 写真: Rebecca Storm
- スタイリング: Romany Williams
- 文: SSENSE エディトリアル チーム