ランジェリー
その外観と機能
- 文: Rebecca Storm
- 写真: Rebecca Storm

産業革命の結果、かつて富や豊かさを意味した大仰なデザイン要素は、多量に複製して安価に販売できるようになった。中は空洞で、上辺だけを大理石風に塗装した石膏製の成形品。中産階級はそんなロココ様式の装飾繰形やコリント風の円柱へ殺到した。やがて、デザインや建築の要素が持つ象徴的な意味が進化していくと、過分な装飾や過剰な様式は恐らく建築の機能と相反することが明確になった。なぜ、建築自体の構造を装飾で隠すのか? かくして、初期モダニストたちの反撃が始まった。板ガラスや鉄骨を剥き出したシンプルな効率が選択されるようになった。もはや、華美な見せかけの下に隠す欲求は消滅した。
ランジェリーは基礎を成す衣服である。構造を与え、保護し、望みとあれば装飾する。だが、私たちのニーズが変化するにつれ、機能と快適と視覚的な満足に対する需要も変化する。もはや、私たちにはアンダーウェアとランジェリーを区別する時も場所もない。現代に相応しいハイブリッドを作り出すことがとても重要だ。今の時代に肌とアウターウェアのあいだで私たちを的確に表現する要素は、パッドやゴールドのレース、プラスチックのパールやポリエステルのリボンに限定されない。往々にして、過剰な装飾は快適性を奪う。まして、誰かを誘惑するため、なんて論外だ。
私たちは、建物の正面と同じ感覚でランジェリーを捉えがちだ。魅力的で華美な装飾に気を取られるあまり、構造自体の素晴らしさを見落としてしまう。だが今こそ、ミース・ファン・デール・ローエ(Mies van dear Rohe)の建築を崇める気持ちでランジェリーを讃えるときだ。単に外観だけでなく、素材や機能に目を向けて...。




- 文: Rebecca Storm
- 写真: Rebecca Storm