マリー・ヤット: そうね。チームの大部分が女性だった。あえて、そうしたかったの。

確かにそうね。このブランドにとって、女性と仕事をするのは自然なことなの。それに、女性はこういう機会を与えられたり、お互いのためにこういう機会を作り出して然るべきだわ。重要なことなのよ。日本の海女は、真珠や魚介類を取るためにかつて素潜りをしていて、みんな女性だった。それが私の目を引いた点ね。なんてたくましい女性のコミュニティなんだろうって。1950年代にイタリアの写真家、フォスコ・マライーニ(Fosco Maraini)が撮った写真を見ていたの。彼女たちは酸素タンクもなく、トップレスで腰に布を巻いていて、安全のための腰縄が一本あるだけ。私は、潜ることにこんなに情熱を持ってる力強い女性たちに、すっかり惹き付けられてしまったわ。もちろんそれは生活のためだけど、彼女たちにはそれ以上のものがある。1950年代になると、これをビジネスにする会社が出てきて、女性たちもウェットスーツやダイビング機材を与えられて潜るようになったから、今はもうやってないけどね。日本社会が西洋化するにつれて、女性がこういうことをしたり、トップレスでいることがタブー視されるようになったから。

今なら、海女はどんなアンダーウェアを身に着けるだろうかって考えたの。海女たちの映像を見てみると、彼女たちは船から30メートルの水中めがけて飛び込む瞬間、腰縄をキュッと引きしめている。私はデザインの中にその引きしめる動きをどうしても再現したかった。だから、ドローストリングをあしらったアンダーウェアを作ったのよ。

私は可能だと思うわ。だから私はそれをやろうとしているの。過度に性的ではなく、でも快適さを考慮しながらセクシュアリティを楽しむことはほんとに重要なこと。女性たち自身に、これがほしい、って思ってもらうことが大切だから。男性に「これすごくセクシーだ。これを買うべきだ」って言わせるよりもね。私たちのビジュアルはよく挑発的だって思われるけど、私たちはそれを攻撃的にやっているわけではないわ。人の興味を惹くような視点であるべきなの。それもあって私たちは、ローナン・マッケンジーRonan McKenzieのような女性写真家たちと仕事をしているのよ。

私にとって大切なのは、女性が見られても身に着けても快適であるものを作ることなの。女性は何でも着たいものを着ればいいけど、性的対象とみなされること避けるためには、背景やコンテクストをきちんと考える必要があるわね。

そうなの。YouTubeを見ると、彼女たちはカメラの前でポーズを取ったりしていない。ただ自分の仕事をしているだけよね。

女性は何百年もの間、ずっとカメラや画家の目を通して描かれてきた。でも今日では、作品に描かれた女性がそういう視点で見られていたのかどうか、そして彼女たち自身が自分の性を意識的に強調していたのかどうか、皆わかるようになってきたわ。

私は、あれを快く思わない女の子や、プッシュアップブラなんて着けたくない女の子に、他の選択肢もあるんだってことを示す責任を感じるわ。実際、同じことを模索し始めたアンダーウェアブランドもたくさんある。私たちの顧客は主に24歳から34歳の間だけど、私たちの商品に興味を持っているティーンエージャーの女の子もいる。だから、その子たちに、他の選択肢を提供したいの。モデルをキャスティングする時も、モデルを見て自分ではない誰かになりたいと思うんじゃなくて、「彼女って、私みたい」って思って欲しい。

そうね。フェミニズムをマーケティングのツールとして使いたくはないし、「フェミニスト」って書いてあるパンツを売るのもイヤよ。フェミニスト的な感性は、前面に出すのではなく、仕事の細部に表れるべきものだわ。

お金を払って人の陰部を見る権利があるって思っている男性には賛同しないけど、私はスポーツとしてポールダンスを始めたの。自分の体にずっと自信がなかったから、自分の体の動きや自分の体で何ができるのかを学んだり理解したりするのは、重要なことだった。ポールを置いたのは、ダンススタジオ内で自分自身を鏡で見るためであって、自分の見た目の良し悪しを判断するためではないの。ポールダンスをやっている女の子たちって、とてもたくましくて、スーパーモデルとはまた違っていて、そこに惹かれたわ。ポールダンスは、肌が直接、鉄のポールにあたるわけだから痛みが伴うし、全然セクシーな気分なんかにならない。それでも、自分の体で良い形を作ることに集中するの。

制限があるからこそ、私はそこに自由を見出すのだと思うわ。こんな小さな素材で自分の考えを表現して、その中で心地良さは損なってはいけないんだから、やりがいのあることだと思う。私はその自由を心から楽しんでいるし大切にしている。私は女性にとっての模範となるものを作りたい。または女性に気分良くいて欲しい。もし私がウィメンズウェアをやっていたら、その気持ちはそれほど強くならなかったでしょうね。