マイケル3世式 ベッドルームファッションの手引き

ヌードの自撮りで知られるインスタグラムの申し子が、今シーズンのベストなベッドルームファッションを選ぶために、初めて服を纏って我々の前に現れる。

  • 文: Michael the III
  • 写真: Michael the III

今から君が読むのは、全て真実である。なぜそんなことがわかるかって? それはこのオレが書いたからさ。で、お前は何者なのかって? 寝室のファッションについて、オレが何を言えるというのか? オレの名はMichael the III(マイケル3世)。才能あるアーティストであり、文化の境界を越えるアイコン、著名なファッション・フォトグラファー、カリスマ政治家、インスタグラムのセレブリティ、著名な話し上手、犬専門のマッサージ師、人道主義者、ベストセラー作家、キッズ・チョイス・アワード(子供向けチャンネルの祭典)の3部門の受賞者、やさしい愛人である。みんなは裸のオレを知っているだろうが、実は、君らには想像もつかないような寝室での着こなしについて、オレはもっとよく知っているんだ。さあ始めよう。

君は寝室を完璧にしようとお金を使いすぎた。でも、全ては必要なものだったんだ。カスタムメイドのベッド、極上に柔らかい羽毛布団と美しいシーツ、アクセント カーペット、ヴィンテージのディスコ照明、お抱えDJ、香りを漂わせるキャンドル、スモークマシーン、バスタブ、明朝時代の小さな彫像、エキゾチックなバーカウンター、Tori Spelling(トリ・スペリング)の著書「sTORI Telling」のサイン本、そして鏡! まだ続けようか? これらの全ては、とりもなおさず、君の寝室はその中心となる存在(つまりは君!)がたゆむことなき細心の配慮を受けるべき、神聖な場所であるということ。オレが、どうやって自分のベッドルームに威厳のある自信を醸しだしているか、ぜひ注目してほしい。それは見た目以上に簡単だ。完璧に仕上げるまで、759枚の写真を撮っただけなのだから。君のゴールもそうあるべきだ。まず、部屋にあるもの全てを取り除くことから始めよう。パレットは真っさらであるべきだ。

今、オレたちは裸だ。自分のスタイルを見つけたまえ。よく聞いてくれ。俺の言う通りにするんだ。なぜなら、自分のスタイルは自分自身の内面から生まれるのだから。ステップ1:口髭を生やそう。手本は1930年代の冒険活劇だ。ステップ2:頭を剃り上げろ。内なる美を妨げるものなど、何もいらないはずだ。ステップ3:色っぽく両手を丸めて、獣のような君の顔を相殺するのだ。もしくは、コントゥアリング(自分の輪郭を活かしたメイク法)で野獣のような顔を作って、コケティッシュな手で相殺するのだ。今や君は、まさにオレのような完全に唯一無二の外見を手に入れた。これが自分自身のスタイルのすべてだ。

うわべしか見ない人は、ファンキー・ベッドルーム・シックが俺のスタイルだと思っているだろう。でもそれは間違っている。俺が着ているのは、グレーのポロシャツと合わせたキルト(スコットランドの男性用のスカート)。自宅でのエロティックな夜には最適なコーディネートだ。このスタイルなら、ベッドから起き出して、そのままお洒落なラグビーの試合にだって直行することができる。君がこの前馬に乗って会場に現れたときのように、驚きで人が振り返るようなこともない。夜から昼まで対応できる、パーフェクトなアンサンブルだ。黒いスモーキーなアイメイクとキトン・ヒールを合わせれば、君はもう準備万端だ。

寝室の健康と安全は、最高(最低)優先事項だ。ひとたびオレのレッスンを修了して、将来のベッドルームとなる愛の回転木馬に乗り込むときは、自分を守るための適切なアクセサリーが必要となる。繰り返し耳にするのは「必ず避妊具を着用のこと」。Hilrary Duff(ヒラリー・ダフ: かつてカバンにコンドームを忍ばせている画像が出回った)に論争を挑むつもりはない。この文言は多少曖昧だが、おつむの弱い奴だってこの意味くらいはわかるだろう。そして、それこそ、オレがこの赤い帽子をかぶって、有害な紫外線A波や紫外線B波から、自分自身を守ってきた理由なのである。

正直に言おう。オンライン上に自分自身を晒すことは、極めて2013年春夏的な行為だ。だが同時に,時代を超越した、優雅でシックな行為でもある。

くれぐれも、君のTinderやGringrやLinkeinのプロフィールを、サイト訪問者に公開することを忘れないように。今夜、誰かが立ち寄るかもしれない。その場合に備えて、一番カッコよく見える状態でいたほうがいい。いざというときのために、絶対に失敗しない、楽しくて思わせぶりな寝室ファッションのカギを伝授しよう。それは、好きな食べ物のことを考えること。オレはパンケーキ。だから、そんな着こなしをするんだ。色っぽいこの仕上がりを見てくれ。

寝室の着こなしにありがちな不安は、観衆の問題だ。つまり、みんながマイケル3世の家で卑猥な寝室ジョークに興じているなら、君が準備したまばゆいばかりのスタイルを誰が見てくれるのか。答えは、ソーシャルメディア以外の何物でもない。そう、その通り。用意周到にセルフィーの撮影に2時間かければ、君だって他人の羨望を駆り立てることができる。とは言え、自己陶酔に気をつけることも大切。たとえ、投稿する写真のために本を持つポーズを決めるためだけでも、時には携帯電話を手から離すことが推奨される。上の写真でオレは、『記憶に刻むべき詩』なんて本を読んでいるフリをしてるのさ。

ベッド上のフットウェアが、ミレニアル世代に人気のトレンドとなってきており、メディアで論争を巻き起こしている。ジャンルの境界を飛び越える若者たちの多彩な趣向のおかげで、靴下か裸足かという窮屈な二者択一に彼らが満足していないことを、このトレンドは示している。トレンド批評家の中には、ミレニアル世代たちはベッドで靴を履くんじゃなくて、外に出かけて現実に何かをするべきだと言う者もいれば、旧世代が住宅市場を荒廃させたと反撃する者もいる。


ところで、君がここですることは全て自己責任だということを、オレは今、法的に言っておく。ありがちな副作用として、不眠、WiFiマークが示す接続不具合、急騰するUber料金、などが挙げられる。ドライクリーニングに限るが、もしどうしても必要なときは、低温乾燥にすること。電池は別途購入のこと。

  • 文: Michael the III
  • 写真: Michael the III
  • スタイリング: Michael the III
  • ヘア&メイクアップ: Michael the III
  • モデル: Michael the III
  • デジタル技術: Michael the III