サスペンスの女
SSENSEエディトリアルでシーンごとに追うThom Browne、Balenciaga そしてPrada
- 写真: Étienne Saint-Denis

極めて抽象的でありながら、常に緊張感に満ちている。サスペンスは、常に物理的要因を介して存在する。この後の悲劇を暗示しながら、ゆっくりと回るドアノブ、夜中に鳴り響く電話のベル。大慌てで詰められたスーツケース。サスペンスとは、ひとつのジャンルであり、かつ心理状態でもある。そこにはサスペンスをもたらす媒体が必要だ。突然ドアの向こうから響いてくる足音、あるいは、玄関ホールにかけられた赤の他人のコート。これは一体誰の物なのか。そもそも、いつからここにあったのか。ただそこにあるだけで、すでに不吉な予兆となる。なんでもない物が危機を発生させる触媒となる。そこにあることが、危機を意味する。
さらに、サスペンスの世界では、実に何気ないジェスチャーにさえ緊張が生じる。緊張と解明の間の膠着状態にサスペンスは立ち現れる。腕時計、片方の靴、片方の手袋、手袋をはめた手の影。これらすべてが、何かを物語り、あるいは謎を解く。鍵はもはやただの鍵ではない。モノは共謀している。モノは策略を巡らせる。

画像のアイテム:タートルネック(Nomia) 冒頭の画像 モデル着用アイテム:トレンチコート(Helmut Lang)、ドレス(Haider Ackermann)、キーチェーン(Prada)

モデル着用アイテム:ブラウス(A.W.A.K.E.)、トラウザーズ(A.W.A.K.E.)、グローブ(Erdem)

モデル着用アイテム:ミュール(Balenciaga)、ドレス(A.W.A.K.E.)
- 写真: Étienne Saint-Denis
- スタイリング: Olivia Whittick
- 写真アシスタント: Martin Beaulieu
- ヘア & メイク: Andrew Ly / Teamm Management
- ネイリスト: Elfi Lemieux / Teamm Management
- モデル: Juliette Gariepy / Dulcedo
- 制作: Alexandra Zbikowski
- 制作アシスタント: Ian Kelly
- 撮影場所: Hotel Ambrose