オープン フォーマット:Bottega Venetaに捧げる実験映像
ビデオ インスタレーションで創作のプロセスを見守る
- クリエイティブ ディレクション: Phil Chang
- 共同ディレクション: Jason Sondock、Simon Davis / rubberband.

先ず最初に、いくつか質問。
今の気分は?
リピートして聴いている曲は?
次の質問のうち、よく尋ねられるのはどちら? 「今どんな仕事をしてる?」それとも「 今日はどんな1日だった?」
いちばん最近、何かを作って、それをすぐにシェアしなかったのはいつ?
いちばん最近、何もしないことにしたのはいつ?
「ノー」と答えることがある?
理想の椅子はどんな椅子?
その椅子が特別なのは、どうして?
いちばん最近、静けさを感じたのはいつ?
いつも、やることを先延ばしする?
一度に何冊の本を読む?
いちばん最近、何かを手作りしたのはいつ?
「体で感じる」とは、どういうことだと思う? 具体的に。

Jin Ha 着用アイテム:クルーネック(Bottega Veneta)、トラウザーズ(Bottega Veneta) 冒頭の画像のアイテム:タートルネック(Bottega Veneta)、トラウザーズ(Bottega Veneta)、ブーツ(Bottega Veneta)、セーター(Bottega Veneta)、レギンス(Bottega Veneta)、ブレザー(Bottega Veneta)、トラウザーズ(Bottega Veneta)、ポロ(Bottega Veneta)、ショート ドレス(Bottega Veneta)、 ヒール(Bottega Veneta) 、トート(Bottega Veneta)

Jessica Willis 着用アイテム:ボディスーツ(Bottega Veneta)、レギンス(Bottega Veneta)、ピアス(Bottega Veneta)、ヒール(Bottega Veneta)

Jaimie Sanchez 着用アイテム:ブレザー(Bottega Veneta)、トラウザーズ(Bottega Veneta)
ますますデジタル化が進む現在、生産性はしばしば金銭的な価値と混同され、現実世界での交流はめったにない感じがする。結果に対して期待も要求もされないコラボレーションは、それよりさらに珍しい。ディテールに細かく配慮するなど、ほぼ度外視の現状だ。常に急き立てられるように次を追い求め、あらかじめ感嘆を想定することで、創作のプロセスがもたらすインパクトも意義も弱まってしまった。では、どうするのか? 予測される答えと反対のものを作り出すことで、それにどう応えることができるだろう?
ダニエル・リー(Daniel Lee)がBottega Venetaで初めて手掛けたコレクションの核心は、ある意味で、予測された答えとは真逆のものだった。デザインにはブランドの伝統が尊重されていたが、ラグジュアリーのコンセプトは、とおり一遍の解釈を超えてさらに進化していた。リーが描くビジョンは、鮮明であると同時に受容的であり、大胆な自信をうかがわせると同時に静穏である。Bottega Venetaのシグネチャである「イントレチャート」から浮かんだアイデアが、温められ、育てられている。曖昧で秘められた状態として欲求をとらえた遊び心のあるデザイン、強要するのではなく触れてみたくなるデザインだ。

Jessica Willis 着用アイテム:ボディスーツ(Bottega Veneta)、レギンス(Bottega Veneta)、ピアス(Bottega Veneta)、ヒール(Bottega Veneta)

先月、クリエイティブ ディレクターのフィル・チャン(Phil Chang)は、それぞれ異なる分野で活動する5人のクリエイターに声をかけた。目的は、初めて出会う5人が相互に作用すること。場所はロサンゼルス、倉庫だった場所を改造した作業場だ。「Open Format: A Filmed Experiment for Bottega Veneta」というタイトルどおり、単純明快で、衝撃的なまでに率直なプロジェクトだ。メンバーは、当日必ず参加して、24時間滞在する。何かを創作してもいいし、しなくてもいい。ソーシャル メディアに接触しないことだけが、唯一の決まりだ。
作業所内に設置された多数のカメラがさまざまな角度から撮影した映像は、ただ作るために作るという行為から解放された空間で、自然な展開を観察する実験だった。言うなれば、「目的が定められていない」エネルギーを引き出す試みだ。
メンバーによっては、カメラや裁縫道具やノートを持参した。その当日にニューヨークからロサンゼルスへ引っ越したばかりのメンバーもいた。そして現場では、エンツォ・マリ(Enzo Mari)デザインの椅子が組み立てられ、インタビューが行なわれ、野球の古いミットから靴の片方が作られ、アップサイクルされたFedExのジャケットを縫い合わせてもう一方の靴が作られた。写真が撮影され、ランチの時間があった。静かな時間が長く続いた後に笑い声が上がることが、何度もあった。同じ人たちと長時間一緒にいるとなぜか自然に出てくる、あの笑いだ。人との繋がりが楽しくて生まれる笑いもあった。何人かの人が、生まれたばかりの赤ん坊を連れて訪ねてきた。お互いの技術が評価され、共有された。誰一人として鳥形ドローンを上手く操縦できず、壁や人に突っ込んでくる騒動でさえ、心が浮き立つ体験だった。衝突を避けて、みんなが一斉に身を屈める。と、突然、空間に新たなエネルギーが湧き起こっていた。
このプロジェクトに参加したメンバーは、それぞれの分野で腕を磨くだけでなく、各自が携わっている分野をグループ全体でひとつに合体させようとしている。自分の仕事が意味するところを真剣に考え、自分のストーリーを丁寧に語り、「作ること」の定義を書き換えている。
そんなクリエイターたちは…
ジェイミー・サンチェス(Jaimie Sanchez):ディレクター兼プロデューサー
ニコール・マクラフリン(Nicole McLaughlin):プロダクト デザイナー
ジン・ハ(Jin Ha):俳優兼活動家
ジェシカ・ウィリス(Jessica Willis):スタイリスト
レンバート・ブラウン(Rembert Browne):ライター

Nicole McLaughlin 着用アイテム:ショート ドレス(Bottega Veneta)
- 文: Durga Chew-Bose
- クリエイティブ ディレクション: Phil Chang
- 共同ディレクション: Jason Sondock、Simon Davis / rubberband.
- 写真: Phil Chang (BTS)、Jason Sondock、Simon Davis / rubberband.
- セット デザイン: Priscilla Jeong
- 参加者: Rembert Browne、Jin Ha、Nicole McLaughlin、Jaimie Sanchez、Jessica Willis
- カメラワーク: Duncan McCabe、Jared Cordes
- ヘア&メイクアップ: Kessia Randolph
- 制作: Jezebel Leblanc-Thouin
- 制作アシスタント: Sula Bermudez-Silverman、Erika Houle
- 翻訳: Yoriko Inoue
- Date: October 25, 2019