祝30周年
Maison Margiela Tabi

Maison Margielaは、不在の上に築かれたメゾンである。設立当初、このブランドは、匿名性によって知名度を上げ、その「人間らしさ」で人々を魅了する一方で、当のデザイナーは努めて人目につかないようにしていた。1989年にブランドを立ち上げてから15年間、マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)は控え目、あるいはカメラ嫌いであっただけでなく、存在しないも同然だった。ファッション ショーの常連たちがこのブランド独特のランウェイに感動する中で、マルタン・マルジェラその人の姿は、そこにはなかった。

Tabiブーツ誕生30周年を記念して、今回SSENSEでは、このつま先が蹄のようになったアイコニックなフォルムに焦点を当てたカプセル コレクションを発売する。住人がちょうど今しがた外出したばかりの家、煙がまだ完全に消えていないタバコ、あるいはまだ湯気の立っているお茶。出されたまま、誰も手をつけていない夕飯のような。ここでは主体の不在、それ自体が主題となる。