ロゴマニア?
ローティーンのファッション愛好家レオ・マンデラが、ストリートウェアと派手な消費活動を語る
- インタビュー: Nancy Won
- 写真: Jake Hateley

レオ・マンデラ(Leo Mandella)、弱冠14歳。そのインスタグラムをスクロールしてみると、とても若者の娯楽とは思えない派手な消費活動を目にする。オンラインでは@gullyguyleoの名で通っているマンデラは、しかし、できるだけ多数のロゴを見せびらかすセルフィー遊びに興じているわけではない。彼にとって、「ストリートである(gully)」こと、そして常時ブランドで身を固めることは、本質的に、ストリートウェアが好きな同好の士とつながることを意味する。つながりを求める率直な願望とロゴへの愛着をオープンに表現して、仲間を探す行為だ。「最初は、ただ外側から眺めてただけなんだ。インスタグラムでストリートウェアの写真を見て、ストリートウェアが生まれたカルチャーとか、ストリートウェアに関連したコミュニティを楽しんでた。その世界に、僕も入りたくなったんだ」と言う。「誰かと、もしかしたら100人と、服でつながれるなんてクレイジーだよ」
ナンシー・ウォン(Nancy Won)が未だローティーンのマンデラに会い、Supremeへのこだわり、仲間を見つけること、ロゴ疲れの危険について話を聞いた。
ナンシー・ウォン(Nancy Won)
レオ・マンデラ(Leo Mandella)
ナンシー・ウォン:「何をやっているの?」と聞かれたら、何と答えるんですか?
レオ・マンデラ:しょっちゅう肩書を聞かれるんだけど、そんなもの、ないよ。人がやって欲しいっていうことを、何でもやってる感じ。写真も撮れるし、モデルもできるし、服も作れるし、デザインもできるし、何でもできるよ。でも、どれかひとつを選ぶとしたら、たぶん、モデルかな。それか写真を投稿すること。
どのようにストリートウェアに熱中するようになったんですか?
最初は、ただ外側から眺めてただけなんだ。ストリートウェアも着てなかったし、ストリートウェアとはなんの関係もなかった。その頃は何も買わなかったし。インスタグラムで、人が着てるのを見て楽しんでただけ。服のことで、みんながたくさん話したり交流してるのを見るのは、クールな気分だったよ! そういう世界があるって、全然知らなかったからね。みんな、色んな服を着て、自分で楽しんでるだけなんだろうと思ってた。でも本当は、世界的なコミュニティなんだ。家のコンピュータの前で、その仲間になれるんだ。

ストリートウェアで
スケート カルチャーの
ブランドが、
典型的な金持ちマダムの
高級ブランドと
コラボレーションなんて、
ファッションの
革命的な瞬間
ただ、こういうアイテムは手に入れるのは、とても大変ですよね。お値段ももちろんだけど、どうやって手に入れてるんですか?
だいたいは、ストリートウェア フォーラムのSupremetalkなんかで手に入れてる。売りたい人が、アイテムを投稿するんだ。GrailedやDepopで買うこともあるけど、フォーラムがいちばん簡単だし信用できるんだ。すごくレアだから、初めはなかなか手に入らなかったよ。運が良かったら、たまに定価で買えることもあるけど、金儲けを考えてる人が多いからね。服を買って、ちょっと着て、飽きたら少し高く売るんだ。そしたら、儲けで次を買えるから。僕もやってたことあるけど、今は、どれか売っても、まだ手元に残ってる服もあるし新しい服も買えるから、上手く回ってるよ。
今のお気に入りブランドは?
もちろん、好きなブランドのひとつは絶対Supreme。でも、最近は、ちょっと距離を取って、違うブランドも着てる。Gucciはすごくいいよ。ヴィンテージも好きだし、ヘビが刺繍してあるジーンズみたいな新しいアイテムも好きなんだ。Number Nineもすごくクールだよ。

ストリートウェアのブランドとGucciのようなハイ ブランドを合わせるのが好きですか?
うん! Gucciっていうと、お金持ちのフォーマル ウェアって感じだけど、最近は、ストリートウェアのカルチャーで復活し始めてるんだ。Supremeのジョガーと組み合わせたり、スーツとネクタイみたいなフォーマルな格好にGucciのTシャツなんて、かなりクールだよ。
どうして、Supremeのボックス ロゴはあれほど人気があるのでしょうね?
理由を理解するのは、すごく難しいよね。だって、あのロゴが付いてるだけで、クレイジーな値段になるんだから! フーディに小さいボックス ロゴが入ってるだけなのに。僕も、まだそれほどSupremeに入れ込んでなかった頃は、「誰も彼も着てるし、みんなと同じに見えるなんてイヤだ」って思ってたけど、Supremeにのめり込んじゃうと、ロゴ無しでいくのは難しいんだ。だから、ボックス ロゴの服を買うのは僕にとって大きな決断だったけど、すごく評判が良かったんだ。そのうち、もっとクールでレアな色を見つけると、もっと注目されるようになった。今はボックス ロゴを着るのが好きだよ。すごく有名だから、ボックス ロゴを着てたら、ストリートウェア好きだってことが一目で分かるんだ。もっと目立たない服を着てると、あまり気付いてもらえない。だから、僕もグループの仲間だよ、ってことを知らせるクールな方法だよね。そこから会話が始まるかもしれないし、つながりが生まれるかもしれない。
Supremeのファンはスケーターでなきゃいけない、という人をどう思いますか?
それ、よく聞くよね。「スケートしないんだったら、なんでSupremeを着るんだよ?」って。だけど、そんなのは馬鹿な考えだって、とっくの昔にみんな分かってるよ。ブランドを着てる人を、何かをするとかしないって理由で非難するなんてできない。サッカーをしない人は Adidasを着ちゃダメって言うようなもんだよ。時代遅れな考えさ。

ロゴ熱は、度を超し始めていると思いますか?
言いたいことは分かるよ。でも、やり過ぎだとは思わない。
一般的に、ロゴが以前より大きくなってます。その魅力は何だと思いますか?
何か自分が熱中してるものとか、レアなアイテムを持ってることを、人に見せられるからじゃないかな。見せびらかすためだよ。人が気付いたら、注目されるってことだよ。

VetementsやGosha Rubchinskiyが、象徴的なロゴを使って、自分たちなりのひねりをきかせるやり方をどう思いますか?
ああ、今、ブランドのあいだで流行してるね。Vetements x Championのロゴ、見た? それとか、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)がIKEAのロゴを着てるのとか。狂ってるよ。よく分からないけど、何がクールに見せるのか、ってことなのかもしれない。IKEAのロゴ ジャンパーのみたいなものを買う人だっているわけだし、何かを買うために、人がどこまでやるかってことだよね。スゴくおかしい。だけど、度が過ぎて、飽きられてきたら、ちょっと引いちゃうんじゃないかな。
SupremeとLouis Vuittonのコラボレーションはどう思いますか?
あれはクレイジーだよ! さっき、ハイ ブランドとストリートウェアの組み合わせを質問されたけど、このコラボレーションはまさに革命的。ストリートウェアでスケート カルチャーのブランドが、典型的な金持ちマダムの高級ブランドとコラボレーションできるなんて、ファッションの革命的な瞬間だと思う。あのデニムのジャケットがすごく欲しいんだ。それと、バッグも。でもLouis Vuittonだけで売るって噂だから、とんでもない値段だろうね。品質ははるかに良くなるだろうけど、その分、値段もすごく高くなるのは嫌だな。
よく聞くよね。
「スケートしないん
だったら、なんで
Supremeを
着るんだよ?」


Supremeから距離を取り始めてるという話でしたが、少しロゴ疲れですか?
別にロゴに嫌気が差してるわけじゃないよ。いつもみんなが同じロゴを着ているのが、嫌になってきたんだ。だけど、ストリートウェア カルチャーがこんなに大きくなってくると、人があまり着てない服を見つけるのは大変だよね。だから、自分のオリジナリティを見せて、同じアイテムでも人と違った着方をすることが、もっと大切なんだ。
ソーシャルメディアでは何でもスピーディに起こるから、オリジナルであることはもっと難しいのではないですか?
みんないつも洋服の写真を投稿するからね。同じものを着てるのがわかるし、個性を出すのは難しい。でも、それって、ポジティブな面もあるんだ。SupremeとかPalaceを人と違った風に着こなせたら、ネットに載せることで反響がある。だから、インターネットは良い面も悪い面もある。オリジナリティを見せられるし、オリジナリティを失くすこともある。
- インタビュー: Nancy Won
- 写真: Jake Hateley