The Stella McCartneyの科学
ファッションと責任のハイブリッドな関係を思い描く
- 写真: Brent Goldsmith
- スタイリング: Juliana Schiavinatto

ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)がまだ駆け出しのデザイナーの頃、ラグジュアリー ファッション業界において「環境に優しい」製品の優先度は低かった。サステナビリティに対する姿勢は、時代遅れなものから流行に乗ったものまで幅広いが、これは従来、ファーやレザー、ダイアモンドなど希少性のあるものを通して定義づけられてきたラグジュアリーとは、正反対のコンセプトである。その意味でも、ほとんどの場合、ラグジュアリーは倫理的であることとは無縁だった。
1990年代半ば、理想を胸にセントラル・セント・マーチンズ大学を卒業したステラ・マッカートニーは、この常識に変化を起こそうと乗り出した。そして、それから20年経ってもなお、彼女の決心が揺らぐことはなかった。生地を生産するために年に1億5000万本もの木が切り倒されることから目を背け、消極的に森林破壊に加担しないため、彼女は、森林管理協議会(FSC)の認証を受けた、健全なスウェーデンの森で、服に使われるパルプを調達している。カシミヤのセーター1枚を作るには通常4頭のカシミヤ山羊の毛が必要で、これが環境に与える影響はウールの100倍にも上る。だが彼女のセーターは、特許を受けたイタリア製のリサイクルしたカシミヤ、Re.Versoで作られている。彼女のスニーカーやアクセサリーは、溶剤や環境に損害を与えるような接着剤を使用せず、環境に与える影響の少ないゴム材が用いて組み立てられている。またフットウェアのコレクションにはすべて、エコアルター ナッパ レザーという、その50%が植物油の再生可能資源で作られた合成皮革が使用されている。Stella McCartneyのデザインはどれも環境への影響を最大限に配慮して開発されているのだ。
ステラ・マッカートニーは、サステナビリティという概念を、ラグジュアリー ファッション市場のデザインに持ち込んだ第一人者であり、彼女がブランドを立ち上げてから30年の時を経て、ようやくこの考えは注目を浴びるようになってきている。1月には、『Business of Fashion』が2018年のファッションにおけるイノベーションの中心になるのはサステナビリティだろうと予測した。ミレニアル世代は、それ以前の世代に比べ、サステナビリティに対する関心が高く、ブランドの透明性と説明責任は、ますますその魅力を左右する要素になってきている。
写真家のブレント・ゴールドスミス(Brent Goldsmith)とスタイリストのジュリアナ・ シャビナット(Juliana Schiavinatto)が、SSENSE エディトリアルのため、ファッションと社会的責任のハイブリッドな関係を探求し、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)が設計したモントリオールの「La Station」で撮影を行った。このモダニズム建築作品は、ドイツ系アメリカ人建築家により1969年当初ガソリンスタンドとして設計され、その後、地熱技術を使って運営される青少年とコミュニティ向けセンターとして利用されている。

モデル着用アイテム:サングラス(Stella McCartney)、スカート(Stella McCartney)、ショート ドレス(Stella McCartney)、スニーカー(Stella McCartney)

モデル着用アイテム:サングラス(Stella McCartney)、ブラウス(Stella McCartney)、ラウンジ パンツ(Stella McCartney)、ヒール(Stella McCartney)
- 写真: Brent Goldsmith
- スタイリング: Juliana Schiavinatto
- 動画: Tristan C-M
- 写真アシスタント: Will Jivcoff、Ryan Lebel
- スタイリング アシスタント: Kiara Sayer
- ヘア&メイクアップ: Andrew Ly / Teamm Management
- モデル: Nova Orchid / Dulcedo
- 制作: Alexandra Zbikowski
- 制作アシスタント: Erika Robichaud-Martel
- ミュージック: “The Loner” by Tony Price