GR10K
一見したところ、GR10K のウェアは私服の政府工作員を連想するほどに特徴がなく、ブランドのプロモーション資料でさえ、軍隊のハンドブックを反逆的なマニフェストにすり替えたかの印象があります。 ところが続けて見ていくと、やがて明確な意識を持ったアウトサイダーの感性が明らかになり、目立つことなく変革を目論む人々に最適のウェアであることがわかります。 GR10K は、イタリアのとある工場で生産されたファッションとは無関係な余剰製品をアップサイクルすると同時に、テクニカル ファブリックや実用本位のディテールに関して同工場が蓄積した膨大なノウハウを活用する方法で、ますますスピードを増すファッション界の生産 / 消費サイクルに潜入し、混乱を引き起こすことに成功しているのです。 いわゆるコレクションは、耐久性に優れたユニセックスのシャツ、リサイクル素材を使ったアウターウェア、カーゴ トラウザーズで構成されています。 テキスタイルの多くは、一般市民的な基準からすれば珍しい難燃性や防弾特性を備え、火災や銃撃に遭遇した場合にも体を保護してくれます。 GR10K は、ユニフォームに固有の還元的ともいえるデザインの制約を敢えて選択しつつ、集団用既製服をデザインする際のツールであるミニマリズムの枠を超えて、ブランドとしての意図を巧妙に実現します。