Mugler

14 歳のときにたまたまラン国立オペラ劇場のバレーを目にして、アートとしての表現に足掛かりを得た若き日の Thierry Mugler (ティエリー・ミュグレー) は、やがて舞台芸術からファッションの世界へと関心を移行しました。 80 年代には Alaïa、Gaultier、Montana といった有名デザイナーと並んでファッション界を支配し、劇場の世界を連想させるウェアとショーで人々を魅了したのです。 多彩な対象にインスパイアされたデザインは、幻想的なプロポーションと構造の作品を誕生させました。 年月が流れて Mugler 自身の時代が終わりを告げたのは当然のことですが、現在の Mugler (ミュグレー) ブランドは、大学では建築を専攻し、Acne Studios に参加した経歴もある Casey Cadwallader (ケーシー・カドウォールダー) がクリエイティブ ディレクターを務め、ラグジュアリー ブランド Mugler の本質である変容の精神を引き継いでいます。 スパイラル カットのデニムのジャケットやジーンズ、身体の構造を意識したトップス、斬新なプリントには、アクティブウェアの分野における技術進歩、スポーツウェアの要素が浸透した 70 年代 Mugler 作品との繋がりが活きています。 高く評価された Mugler のショーマンシップは、遠い過去の一場面のように感じられるかもしれません。 しかし、舞台で演じられるキャラクターを支えた衣装こそ、今なお Mugler が健在であることの基盤なのです。